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| 仮想化されたマシン | ||||||||||
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1988年にAS/400という名前で登場したiSeriesが、いわゆるオフコンからクライアント/サーバー環境におけるサーバー機、オンデマンド・ビジネスを支えるサーバーとしての位置付けを経て、最新の仮想化技術を標準搭載するマシンに成長するとは、当初は誰も想像できなかったのではないでしょうか。おそらくAS/400を設計したアーキテクトすらも同様だったでしょう。 将来発生するであろう技術革新を見据えながら、長期間にわたってお客様にその価値を提供し続け、そしてシステムとしての寿命を永続的に保つことを狙いとするため、その設計には非常にユニークな技術が盛り込まれています。 当時はVirtualization、もしくは「仮想化」という言葉では認知されていませんでしたが、iSeriesのアーキテクチャーは現在の仮想化技術そのものだということがいえます。 ![]() 図2:TIMIによる仮想化 iSeriesはマシンそのものが仮想化されています。i5/OSと呼ばれるオペレーティング・システムやアプリケーションがマシンと見なしているのは、TIMI(Technology Independent Machine Interface)と呼ばれる仮想マシンです。 ハードウェアを前提に、SLIC(System License Internal Code)と呼ばれるマイクロコード相当の機能がTIMIを作りだし、その上でオペレーティング・システムが稼働するという仕組みになっています。そしてTIMIのメリットは、アプリケーション資産の継承とマシンとしての柔軟な拡張性の実現にあります。 ハードウェアおよびテクノロジーの革新のスピードには目を見張るものがあります。アプリケーション資産は人手に対する投資の集大成であり、ITインフラ全体における比重は年々高まっています。もしアプリケーションがハードウェアに依存するとしたら何が起こるでしょうか。ハードウェアの革新は、既存アプリケーションの見直しや作り直し、最悪の場合にはアプリケーション資産の廃棄を意味するかもしれません。 実は多くのITシステムは、潜在的にこのジレンマを抱えています。しかしながらiSeriesではSLICにおいてテクノロジーの差をすべて吸収させているために、TIMIは1988年以来つねに上位互換性を保ちながら成長を続けており、同時にアプリケーション資産の継承も実現しています。 iSeriesにおけるこれまでの歴史の中でテクノロジー面における最大の革新は、1995年のプロセッサー技術の切り替えでした。将来にわたるプロセッサー能力の継続的な向上を実現するためには、それまでの48ビットCISC(Complicated Instruction Set Computer)型では限界があったために、64ビットRISC(Reduced Instruction Set Computer)型に置き換える必要がありました。 プロセッサーが一度に処理できるデータ量が変わり、しかもプロセッサーに対する命令体系が完全に変わったわけですから、通常ならばそれまでのアプリケーション資産を活かすことは不可能と考えるべきところです。しかしながらSLICはこの違いすらも吸収して互換性あるTIMIを実現できたために、旧来のアプリケーションを書き換えたりコンパイルし直したりすることなく、ユーザーがこのテクノロジーの革新を乗り越えることを可能にしました。 SLICの役割は仮想マシンを作りだすことだけではありません。システムとして必要な機能のいくつかは、オペレーティング・システムではなくSLICにおいて実現されています。データベースエンジンやJVM、さらにはセキュリティー機能もSLICの中にあります。 オペレーティング・システムやデータベースなどの機能ごとにセキュリティーを実現しているシステムとは、その堅牢性に大きな違いがあります。仮に各機能のセキュリティーが万全だったとしても、機能と機能の「継ぎ目」には綻(ほころ)びが生じやすいものです。これではシステムとして一貫性あるセキュリティーにはなりません。一方iSeriesにおいては、セキュリティーは仮想マシンともいうべきTIMIの内側において実現されています。 すなわちマシンが最初からシステム全体におよぶセキュリティーを備えていることになります。この堅牢性は、米国での懸賞金をかけたハッキング・コンテストにおいても誰もシステム破りができなかったという実績によっても証明されています。 |
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