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BIの現状と今後
第3回:オープンソースBIの潮流
著者:
野村総合研究所 城田 真琴
2006/3/22
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JasperReports
JasperReportsは、Business Objectsの出身者が設立したJasperSoft社が開発した、アプリケーションに組み込み可能なオープンソースのレポーティングツールであり、LGPL(Lesser GNU Public License)で提供されている。
SourceForgeでは、Top20 Active Projectに常時ランクインするほどの人気を博しており、既に通算では1,000,000回以上ダウンロードされており、現在も毎月45,000回以上ダウンロードされている。
JasperSoftによると、JasperReportsの顧客は世界50ヶ国以上、10,000以上にのぼり、American Express、Cisco Systems、HP、IBM、GoldmanSachsなどの大企業も名を連ねている。
JasperReportsでは、レポートはタイトル、ページヘッダ、コラムヘッダ、グループヘッダ、グループフッタ、コラムフッタ、ページフッタ、サマリなど独立して定義され、フォーマットされた多数のセクションから構成される。非常に柔軟なレイアウトが可能であり、あらゆる形式のレポートの作成を行うことができる。
また、PDF、HTML、XLS、CSV、RTF(Word)、TXT、XMLファイルなど、様々な主力形式にも対応しており、ユーザはPCの画面上やプリンタもしくは他のアプリケーションなどとレポートの利用場所にあわせて選択することができる。
なお、データソースとしては、JDBC(JDBCでラッピング可能なRDBMS含む)やJavaBeans(EJB、Hibernate)、XMLデータなどが利用可能である。図2にJasperReportsのアーキテクチャを示す。
図2:JasperReportsのアーキテクチャ
出所:JasperSoft
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)
サポートサービスが必要な場合は、JasperSoftからインシデントごとあるいはサブスクリプションベースでサポートを受けることもできる(有償)。
さらに同社では、このJasperReportsの高機能版の「JasperDecision」を商用ライセンスのもとで提供している。図3にJasperDecisionのアーキテクチャを示す。
図3:JasperDecisionのアーキテクチャ
出所:JasperSoft
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)
JasperDecisionでは、LDAPやActive Directoryとの統合によるシングル・サイン・オンの実現や認証機能の追加など、セキュリティ面の強化に加え、キャッシュやクラスタリング機能のサポート、ダッシュボード機能や管理ツールの提供などスケーラビリティ、ユーザビリティの面でも機能強化がはかられている。より充実した機能を求める場合は、オープンソース版のJasperReportsよりも、こちらの商用版を利用するという選択になろう。
このようにJasperReportsは、先に説明したEclipse BIRTと同様にアプリケーションに組み込み可能なレポーティング機能を提供するものである。Javaの統合開発環境のデファクトとなったEclipseを生んだEclipse Foundationで開発されていることから、とかくBIRTに注目が集まりがちではあるが、現在のところ、米国内ではJasperReportsの方が多く利用されているようである。
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著者プロフィール
野村総合研究所 城田 真琴
IT動向のリサーチと分析を行うITアナリスト。大手メーカーのシステムコンサルティング部門を経て2001年、野村総合研究所に入社。専門は、BIの他、SOA、EAなど。最近はSOX法対応ソリューションのリサーチを手がける。著書に「EA大全」(日経BP社)、「2010年のITロードマップ」(東洋経済新報社)(いずれも共著)など。
INDEX
第3回:オープンソースBIの潮流
今回は
BIRT(Business Intelligence and Reporting Tools)
JasperReports
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