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先進諸国と比較したIT投資
先進諸国との対比におけるIT投資/ITコストダウンとITコストマネジメント

第7回:これからの情報システムの存在価値と発展

著者:日本情報システム・ユーザー協会   2006/4/12
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情報システム部門のアクティビティ指標

   情報システム部門のITガバナンスを追求する中で情報システム部門自体の活動(アクティビティ)および成果をを評価する指標を持ち、継続的な情報システム部門の業務改革を行う必要がある。表2のそれぞれの視点から情報システム部門のアクティビティ指標は検討する必要がある。
ITガバナンスの視点
  1. 情報システム・ガバナンス指標
  2. 情報化・人材育成指標
  3. 情報システム利用者満足度指標
ITコストの視点
  1. 情報システム投資指標
  2. 情報システム性能指標
  3. 情報システムコスト指標
ITサービス提供の視点
  1. 情報システムサービスレベル
  2. 情報システム信頼性指標
  3. 情報システムセキュリティ指標
ITシステム構築の視点
  1. 情報システム実現能力指標
  2. 情報システム品質指標
  3. 情報システム改革構築指標

表2:情報システム部門アクティビティ指標表

   そして、表2をさらに情報システム部門の管理指標として設定することが望まれる(図3)。

情報システム部門アクティビティ指標(案)
図3:情報システム部門アクティビティ指標(案)
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

   図3の指標は経営者/事業責任者やエンドユーザ(利用者)の示すITガバナンス上のITコストマネジメントについての評価である。

   表3に必要な指標が反映されて、IT投資/ITコストマネジネトとの連携で情報システム部門のアクティビティや成果が評価される仕組みを作ることが重要である。

  1. IT投資評価
  2. ITベネフィット
  3. IT健全性
  4. ITコストモデル
  5. IT満足度

表3:経営者/事業責任者やエンドユーザ(利用者)の示すITガバナンス上のITコストマネジメントについての評価

   一般的に情報システム部門のアクティビティは企業内の他の部門から見ると、不透明であるとの評価を受けやすいので、説明しやすい指標で明快な説明責任を果たさない限りは情報システムの存在価値を評価してもらうことは困難であろう。


おわりに

   約2年間に渡り、欧米先進国のITガバナンス/IT投資/ITコストマネジネトを調査研究してきたが、各企業の情報戦略の機密事項でもあり、報告書にはのマクロな分析として評価して取りまとめることしかできない状況である。

   具体的な数字によるIT投資/ITコスト/ITベネフィット/IT健全性/IT満足度などの指標を作ることが、各企業にとり重要であるが、ここでは、それぞれの評価視点を企業情報システムのシステムライフを通じて体系的に分析整理しまとめあげた。

   このため、今後は各企業の企業秘密に属するデータの機密管理を行い、そのデータを公表してもさしつかいない客観的なデータに変換するルールを作り、ベンチマーキングを行う仕組みを構築することが必要である。またこれらの指標の具体化と利用を促進し、ユーザ企業間での更なる情報化を促進する上で必要な価値観、評価基準などを作り込むことが必要である。

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社団法人 日本情報システム・ユーザー協会
著者プロフィール
日本情報システム・ユーザー協会
社団法人 日本情報システム・ユーザー協会
ユーザーの立場からの産業情報化の推進を目的とし、大手ユーザー企業を中心に、約250社の会員を擁し、経営とITに関する様々なテーマや、立場に応じた40以上の委員会、研究会、研究プロジェクトを実施し、毎年、各種調査・研究報告書の刊行や、提言を行っている。1962年、日本データ・プロセシング協会として創立、1992年社団法人日本情報システム・ユーザー協会として、全面的に拡充改組。
http://www.juas.or.jp/

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