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Linux/OSSの導入実態と今後の展望 |
第5回:サーバ用Linuxディストリビューションの市場動向
著者:矢野経済研究所 入谷 光浩 2005/5/16
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各ベンダーのビジネス戦略
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ディストリビューションベンダーの戦略としてまず挙げられるのはサポートの強化である。ユーザ調査結果でもサポートの不安が指摘されたように、対応が急務となっている。また、各ベンダーともLinuxの裾野を拡げるために様々な戦略を打ち出している。まだまだ小さいLinuxのシェアを奪い合うよりも、各社ともWindowsという強大な市場からシェアを奪っていく構えである。以下に各ベンダーのビジネス戦略を紹介していく。
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真のオープンソースビジネスを展開するレッドハット
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現状では世界をリードするLinuxディストリビューションベンダーのレッドハットは、真のオープンソースビジネスの展開を図る。レッドハットはIHVやISVに対してニュートラルな立場をとっており、商用ソフトウェアに縛られながらビジネスをする必要はない。
これを強みとしてLinux上で稼動するミドルウェアやデータベース、さらにその上のレイヤーに対してOSSのアプリケーション製品を出していく方針である。Linuxを普及させるためには、Linux上で稼動できるアプリケーションがポイントになる。これをレッドハット自身で出していき、LinuxだけではなくOSS市場全体を牽引していく姿勢をとっている。
レッドハットではLinux OSの販売ターゲットとして、既存のWindowsユーザを狙っている。そのためにもサポート体制の充実、技術者の育成を強化している。
トレーニングはレッドハットの中で大きなビジネスの柱であり、RHCT(Red Hat Certified Technician)などレッドハットの認定資格取得向けのトレーニングコースを開設している。また、学生向けの教育も行っており、Linux技術者の裾野を広げ将来のLinux市場の拡大を図っている。さらには、Windowsエンジニア向けのトレーニングも積極的にPRしていき、エンジニアレベルからWindowsユーザの取り込みを図っていく。
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アジア標準Linuxを目指すミラクル・リナックス
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日本オラクルと強固な関係があるミラクル・リナックスは、中国のLinuxディストリビューションであるRed Flag社、韓国のソフトウェア会社Haansoft社と共同でLinux OS「Asianux」を開発し、アジア向けの標準Linuxを目指している。北米ではRed Hat、欧州ではSUSE LINUXがデファクトスタンダードとなっているが、まだこれといって決まったものがないアジア市場の獲得を狙っている。
既にAsianux 1.0はリリースされており、MIRACLE LINUX V3.0で採用している。2005年7月には次期バージョンのAsianux 2.0のリリースが予定されている。日本、中国、韓国では共通して言語がマルチバイト環境であることに着目し、ユーザに使いやすいように改良することで差別化を図っていく。
ミラクル・リナックスでは、これまで以上にサポートやコンサルティングなどのサービス事業を強化していく。サービス事業の売上は好調であり、サポートの充実を図るべくダンプ解析など障害対応ハイエンド向けサポート「エンタープライズサポート」を2005年から開始し、更なる売上拡大を見込んでいる。
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ユーザが購入しやすいサポートを提供するターボリナックス
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ターボリナックスは2004年10月にカーネル2.6を搭載したTurbolinux 10 Serverの出荷を開始した。製品価格は4万円を切り、購入するとアップデートサービスを5年間無償で受けられ、よりユーザが購入しやすい価格体系になっている。
また、Turbolinux 10 Serverから「with Support」としてサポートサービスをパッケージ化したモデルも登場し、10万円を切った価格設定となっている。ターボリナックスでは誰でもサポートサービスを購入できるような価格を設定し、販売の拡大を狙っていく。
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Windows NTからのリプレース狙うノベル
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ノベルはSUSE LINUX時代から培ってきたハイエンド領域で高い実績を誇る。とくにIBMのzSeriesやpSeriesでの実績が確立されてきたので、2005年はボリューム領域で展開を強めていく。
NetWareで培ってきたノウハウをもとに、中堅・中小企業のファイルサーバやプリントサーバなどをターゲットに、2004年でサポート期限が切れたWindows NTからのリプレースを狙っていく姿勢を強めている。
そこで、SUSE LINUX Enterprise Server 9をベースにしたワークグループサーバ製品である「Open Enterprise Server」を2005年5月から出荷する。ファイル/プリントサーバ機能、ユーザ管理機能などを備え、Linuxの適用領域を情報系ネットワークインフラにまで拡大している。また、Linux上のアプリケーションにSUSE LINUXと高い親和性を実現するノベル製品を用いることで、安定した性能を出すことができる。
この製品をともない地方のSIerとのパートナー契約を強め、地方の中小企業向けのチャネルを強化していく構えである。NetWareでWindows NTとの競争で後塵を拝したノベルが、SUSE LINUXを手にあらためてWindowsに攻勢を仕掛けていく。
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書籍紹介
「企業情報システムにおけるLinux/オープンソースソフトウェアの導入実態と今後の展望 2005」
本記事は矢野経済研究所より発刊されている「企業情報システムにおけるLinux/オープンソースソフトウェアの導入実態と今後の展望 2005」から抜粋し、加筆、修正を行ったものです。上記調査資料には、さらに詳しいデータや分析結果が記載されています。調査資料のご購入は下記のリンクより行えます。
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http://www.yano.co.jp/mrnew/2005/01/C46112400.html
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著者プロフィール
株式会社矢野経済研究所 入谷 光浩
民間総合調査会社である矢野経済研究所のITリサーチ部門にて、サーバやミドルウェアを中心としたエンタープライズコンピューティングのリサーチを担当。近年はエンタープライズにおけるOSSの市場動向に着目しリサーチを行っている。
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