JDeveloperで学ぶJSF入門
第1回:JSFの特長
著者:WINGSプロジェクト 佐藤 治夫(株式会社ビープラウド)、小泉 守義
監修:山田 祥寛
はじめに
1990年代前半から中頃、Webの一般化とともに産声を上げたWebアプリケーションも、当初はBBSなどの単純な用途向けのものがほとんどでした。その後、1990年代後半から2000年代にかけてWebアプリケーションをミッションクリティカルな企業システムへ適用しようとする機運が高まると、それに対応してJ2EEをはじめとした企業向けシステムを開発するためのソフトウェアが次々と登場しました。しかし、これらのソフトウェアは機能が豊富である反面、その仕組みや開発手法は年々複雑さを増し、開発者の大きな負担となっていきました。Sun Microsystems社はこの問題を解決するべく、EoD(Ease Of Development=開発の容易化)という概念を提唱し、開発を容易にするための方針をいくつか打ち出しました。
JavaアプリケーションがEoDへと向かうなか、Webアプリケーションフレームワークの標準仕様として策定されたのがJSF(Java Server Faces)です。JSFは、Strutsの次を担うWebアプリケーションフレームワークとして注目を浴びています。JSFは、果たしてこれまで指摘されてきたWebアプリケーション開発の問題に一石を投じるものなのでしょうか。
本稿では、2005年10月から無償提供が開始され、話題になっているOracle社のIDE(Integrated Development Environment)ツール「JDeveloper10g」を使ってサンプルを作成しました。本稿で、IDEによるJSFを用いたWebアプリケーション開発の魅力を感じ取っていただければと思います。
Webアプリケーションフレームワークの登場
JSFは「Webアプリケーションフレームワーク」と称されていますが、そもそも「アプリケーションフレームワーク」とはどのようなものでしょうか。「フレームワーク」を辞書で調べると「枠組み」や「骨組み」といった意味が載っています。ここから類推すると、アプリケーションフレームワークは、「アプリケーションを構築するための枠組み、骨組み」と定義することができるでしょう。