サーバが安定稼働していることを確認するためには、サーバを常に監視することが必要だ。とはいえ、企業に導入されたさまざまななサーバを、手作業で常時監視するのは簡単なことではない。
そこで、サーバの安定稼働/サーバ管理者の負担軽減を同時に実現するのが「監視ツール」の役割である。ここではネットワーク監視を容易にする各種監視ツールに関する記事を集めてみた。
オープンソース統合監視ツール導入指南
第1回:「Nagios」「Hobbit」「ZABBIX」「Hinemos」を徹底比較
著者:ZABBIX-JP 寺島 広大
コストメリットを確保するオープンソース/フリーソフトウェア
近年、IAサーバの価格が非常に安価になり、LinuxやWindowsを用いたシステムが普及しています。IAサーバを採用したシステムでは、スケールアウトを行うように設計することでハードウェアのコストメリットが生まれます。しかし管理するサーバ台数が増加してしまうため、管理コストはそれに反して増加する傾向があります。システム全体を効率よく管理するためには、まずサーバのハードウェアリソースやネットワーク、OS、アプリケーションなどの状態を適切に把握できることが重要になります。そのため、常にシステムの稼働状況のデータを収集・監視する「監視システム」が必要とされています。
大規模システムではシステムを監視するために、大手ソフトウェアベンダーが販売する統合管理ツールを用いたり、データセンターが提供する監視サービスを利用することが一般的です。しかし、これらのツールやサービスは非常に高価なため、安価なIAサーバと組み合わせたとしてもトータルコストが増加し、最終的にはIAサーバのコストメリットが薄れてしまいます。
システムを監視するための方法としては、自作のスクリプトやSNMP、MRTG、RRDToolなどのツールを組み合わせて利用することがあげられます。しかしながら、複数のツールの連携やそれぞれのソフトウェアの管理自体にもコストを要するため、結果としてあまり管理コストが下がらないケースがほとんどです。
その他には、オープンソース/フリーウェアの統合監視ソフトウェアを利用する方法があります。従来から存在する統合監視ソフトウェアとして「nagios」や「BigBrother」などがあげられますが、機能やユーザビリティの観点から必ずしも満足できるものではなかったことも事実です。
そういった背景から、近年、オープンソースの統合監視ソフトウェアが活発に開発されています。これら後発のソフトウェアは以下のような特徴があります。
- 従来の統合監視ソフトウェアよりも設計が新しい
- 管理インターフェースにWebブラウザを使用する
- 収集した情報をデータベースで管理できる
表1:オープンソースによる統合監視ソフトウェアの特徴
Big Brotherによるネットワーク監視
第1回:ネットワーク監視とは何をするのか
著者:イー・アクセス 矢萩 茂樹
ネットワーク監視ソフト
ネットワーク監視は、ネットワークの発生から語られる定番の分野になっており、ネットワーク監視システムはそれ自体が1つの分野を成立させるほどいろいろなものが開発されています。
今回紹介するBig Brother(以下BB)は、オープンソースベースの監視システムです。フリーで使えるソフトウェアとしては見やすい画面で最近多く使われてきているNagios(NetSaint)や、Javaベースで多くのOSで稼働するOpenNMSなどがあります。
BBは1996年から開発が継続されまだ生き続けている古参のソフトです。ライセンスに使用制限はありますが、他のソフトに比べて簡単な設定だけで安定して使えるうえに、強力な拡張性を持つなどの特徴があり、いまだ根強い人気を誇っています。本連載ではオープンソースのUNIX版のBTF(Better Than Free)版をもとに説明していくことにします。
BBの特徴と利点
BBの特徴を以下にあげてみます。
- オープンソースベースでの監視システム
- シンプルであるが十分な情報が盛り込まれているWeb GUI
- HTTP/DNS/SMTP/POP3/FTP/sshなど標準サービス監視に対応
- 多くのプラットフォームでサーバとして稼働
- 多くのプラットフォームのリソース監視を実現
- 監視設定ファイルは/etc/hostsファイルと形式がほぼ同じで設定が簡単
- 監視のワークフローがのっており効率的に障害ポイントに到達可能
- 機能ごとにモジュール構造をとっており分散処理が可能
- 機能拡張IFが公開されており非常に多くのExtensionが開発されている
- 根強いサポートコミュニティの存在(英語)
表:BBの特徴
統合監視ツールZABBIX事始め
第1回:ZABBIXをインストール
著者:ZABBIX-JP 寺島 広大
統合監視ソフトウェア「ZABBIX」とは
ZABBIXとは、様々なアーキテクチャに対応したオープンソースの統合監視ソフトウェアで、サーバやネットワーク機器のリソース監視/設定を一元管理することができます。
開発はラトビアのZABBIX SIA社という企業によって行われており、同企業により商用レベルのサポートも実施されています。残念ながら日本では商用サポートは行われていませんが、アンオフィシャルなサイトであるZABBIX-JPが運営されています。
ZABBIXサーバのインストール
ZABBIXサーバを動作させるためには、以下の環境が必要です。
- Linux
- Apache(1.3.12以上)
- PHP(4.0以上)
- PHP GDモジュール
- PHP MySQLまたはPostgreSQLモジュール
- MySQL(3.22以上)、PostgreSQL(7.0.2以上)、Oracleのいずれかのデータベース
表2:ZABBIXサーバに必要なソフトウェア
今回はOSとしてCentOS 4.4を使用し、デフォルトで提供されているhttpd-2.0.52-28とMysql-4.1.20-1、NET-SNMP-5.1.2-11の組合せで、1台のサーバにZABBIXの全ての構成をインストールする手順を説明します。なお、説明に使用している環境は、CentOSのインストーラから「全てのパッケージをインストール」を選択して事前に組み込んでおきます。
格安!ベンチャー流サーバ構築法
第3回:運用管理を各種ツールで自動化
著者:ウノウ 佐藤 大樹
各種ツールで運用・監視の手間を削減
Webサービスは、サービスそのものを作るよりも運用の方がコストがかかるといわれています。このため、コストを削減するには運用部分を極力自動化する必要があります。
そこで今回はオープンソースソフトウェアを利用し、コスト削減と運用監視の両面を目的とした手法を紹介します。
どこに着目してサーバを監視するのか
一口に「監視」といっても、サーバを運用する際に注目すべき点は様々です。実際にウノウでは、以下のような項目を監視しています。
- 日々のパッケージのアップデート
- アプリケーションの脆弱性などの確認やアップデートを行います。
- サーバの生存監視
- 正常にサービスが提供されているかの、サーバの死活を監視します。異常があった場合は即座に通知されるのがベストです。
- サーバのリソース監視
- サーバがどの程度のリソースを使用しているかを監視します。サーバの負荷測定、ボトルネック検証や増強計画などで効果を発揮します。
- アプリケーションのログ監視
- アプリケーションが出力するログの監視を行います。
表1:サーバ運用に最低限必要な監視項目
ではそれぞれの監視を行う際のポイントについて、Red Hat系のディストリビュージョンを例にみていきます。
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