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ながさきITモデルへの参画 〜 地場SIerの官公庁システム開発奮戦記 |
第1回:地場SIerに訪れたチャンス 〜 Curlとの出会い
著者:ドゥアイネット 穴井 春奈 2006/4/12
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e-Japan構想によるチャンスの到来
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2003年2月、長崎県庁において休暇システム開発の一般競争入札が開かれた。独特な雰囲気の中で落札業者の名前が呼ばれた。
「休暇システム開発はドゥアイネットに決まりました」
この時から、当社の電子自治体への挑戦がはじまった。
当社ドゥアイネットの本社は長崎にあり、主な仕事は大手ベンダーの下請であった。従業員は全12名、事務員を除く11名全員がプログラマであり、営業は1人もいない。唯一、社長である土井が地元や首都圏で営業活動を行い、仕事を受注してくる体制である。
システムを利用するエンドユーザとの接点がほとんどなく、大手ベンダーのSEとシステムについての打ち合わせを行う。開発においても話題となっているような流行の開発言語を使うわけでもなく、大手ベンダーからの指定通りにシステムを開発してきたのである。
受託開発業務は売上がコンスタントに上がるものではない。1つのシステムを納品して、次に同じ顧客からの発注が来るのはよくて3ヶ月先、むしろ翌年となってしまうことの方が多いくらいだ。
例え今月無事に売上目標を達成したとしても、来月は未達成となるかもしれないし、ひどいと半分以下に落ち込むこともある。明日の飯のタネを少しでも早めに確保しておかなければ、技術者を遊ばせてしまうことだってある。
大手ベンダーであれば体力があり、先行投資も考えることができるが、当社のような弱小企業ではそういうわけにもいかない…。
常に自転車操業だ。
何とか自転車操業から抜け出したい。それは、社員の誰もが感じていることだった。
そのような状況の中、e-Japan構想に端を発した電子自治体化の波という大きなチャンスがやってきた。電子自治体化の波の中、金子長崎県知事は行政が苦手な分野であるITを県職員に任せたままでは駄目だと思ったのだろう。自ら率先して長崎県の電子自治体化の旗手として動き、民間からCIOを招いたのだ。長崎県CIOを民間から招いたことをきっかけに、何かが変わりはじめた。
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自治体独自のシステム構築スタイル
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一般的に自治体のシステム開発はシステム全体を大手ベンダーに一括して発注することが多い。システム開発だけではなく、システム納入後の運用管理や改修なども最初に受注したベンダーがそのまま自動的に受注することがほとんどである。
このような案件では、当社のような規模の小さい企業が大規模なシステム開発に参加することはおこがましいことだった。これまでは孫請け、ひ孫請けとして参加していくしかなかった。
しかし今回長崎県庁はシステム開発の小口分割発注を行い、詳細な設計書も用意した上で地場企業にも直接受注できるチャンスを与えるという。官公庁の案件を直接受注できれば当社としても大きな実績となる。官公庁のシステム開発の実績は信用アップに繋がり、落札をきっかけとした新たな展開も期待できる。このチャンスに飛びつかないわけがない。
早速入札に参加したが、実際には落札できない時期が半年も続いた。ただこの状況は当社だけではなく、どの地場企業も同じであったようだ。今回はそのような状況をなんとか打破しようと考え、見積り金額を何度も調整した末の落札。それが今回の休暇システムの開発なのである。
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著者プロフィール
株式会社ドゥアイネット 穴井 春奈
システム技術部2課 チーフ。 前職は一般事務。もっと自分にしかできない仕事をしたいという思いから転職を決め、ドゥアイネットに入社して4年。現在は長崎県電子自治体プロジェクトに携わり、設計から開発までをこなす。
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