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IT基盤を刷新する レガシーマイグレーション入門
第1回:そもそも、レガシーマイグレーションとは何か
著者:
新日鉄ソリューションズ 荒木 義史
2006/5/26
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連載開始にあたって
ここ2、3年の間はIT基盤を刷新するレガシーマイグレーションが話題になっている。30社を超えるITベンダーがマイグレーション支援サービスを打ち出しているが、「現行コードを新基盤用に置き換えるコード変換技術」だけがクローズアップされているように思われる。本連載ではレガシーマイグレーションについてのテーマ(表1)を言及し、「レガシーマイグレーションとは本来どういうものなのか」を事例を交えながら明らかにしていきたい。
なぜ必要なのか?
いくつかのパターンがあるが、それらはどのようなものなのか?
成功事例としてはどのようなものがあり、成功のポイントは何か?
問題点としてはどのようなものがあり、失敗事例から学ぶべき教訓は何か?
診断・分析技術やコード変換技術/テスト技術は、それぞれどのようなレベルにあるのか?
プロジェクトはどのように進めればよいのか?
表1:本連載でのテーマ
レガシーマイグレーションの必要性 〜 硬直化した企業の中枢神経
そもそも、レガシーシステムとはどのようなシステムをいうのだろうか。もともとの意味は「開発が終了し、保守段階に入ったシステム」であったが、現在では「長期的に使用されているシステム」と一般的に定義されている。そういったことから、必ずしもレガシー=メインフレームというわけでなく、UNIXやWindows上のシステムもレガシー化しつつある状況にあるといえる。
通常、企業には10〜15年以上使われ続けている情報システムが必ずある。それらのシステムは企業の中枢機能を支え、ビジネスにとって不可欠で最も重要な役割を担っているのだ。
古くは1980年代から90年代に本格的に導入されたそれらレガシーシステムの多くは、縦割り組織と縦割り業務にあわせて開発されており、企業システム全体としての最適化がはかられたものではない。内部のシステム構造は度重なる修正/変更/改良が繰り返されてきた結果、複雑化している。
開発当時のメモリサイズの制約をクリアするために特殊なプログラム分割手法を用いて複雑さを増長していたり、すでにサポートが切れているようなミドルウェアを用いていたりする。また少数の技術者しか扱えないようなプログラム言語で構成されていたりすることもあり、開発当時の担当者が散逸して全体を把握できる仕様書すら整備されていない場合もあるのだ。
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著者プロフィール
新日鉄ソリューションズ株式会社 荒木 義史
入社以来、製鉄所生産管理システムに対して、企画〜設計〜開発〜保守のソフトウェアライフサイクル全般に渡る業務に従事。現在は鉄鋼システムでの知見をもとにレガシーシステムを中心としたコンサルティング業務を担当。
INDEX
第1回:そもそも、レガシーマイグレーションとは何か
連載開始にあたって
レガシーシステムの問題点
BPR(ビジネスプロセスリエンジアリング)方式