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レガシーシステムの問題点
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システム開発当時のシステムの制限をそのままにしたり、人材の問題を抱えた結果、現在レガシーシステムは次の3つの課題に直面している。
- 1. ITへの多額の投資に見合ったROI(Return On Investment:投資収益率)が実現できていない
- レガシーシステムの運用・保守に関わる固定的な費用が、企業のIT投資の大半を占める事態となっており、ビジネスに対してインパクトを与える戦略的システムへの投資はしにくいという状況におちいっている。
- 2. ビジネスへの追従が実現できない
- 企業を取り巻くビジネス環境は、市場のグローバル化と競争の激化が進んでおり、これまで以上に魅力的な商品やサービスを作り出し、顧客に応えていかなければならなくなっている。
新たなサービスの提供には、業務プロセスを担うシステムの稼動が欠かせないが、業務の中枢を担うレガシーシステムが、ユーザの改善要求にタイムリーに対応できなかったり、インターネットを通じた取引やWebサービスの利用など高度なIT活用の足かせになるなど、ビジネスの変化への対応スピードが足かせとなってしまうケースが増えつつある。
- 3. 技術やノウハウが継承されない
- 仕様書類が陳腐化していることに加え、長年レガシーシステムを開発・保守してきたベテランが定年を迎え、次々に引退してしまうため、システムの維持が困難になることが懸念されている。この問題は、ベテラン層の象徴的存在が団塊の世代で、一番数が多い昭和22年(1947年)生まれの人々が60歳で定年を迎える年代にあわせ2007年問題ともいわれている。
表2:レガシーシステムの関する課題
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レガシーマイグレーション手法の分類
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レガシーシステムの関する課題の解決策として、各ITベンダーより提案されているのが、「レガシーマイグレーション」である。「マイグレーション」とは「移住・移転」という意味であるが、レガシーシステムの「何」を「どこ」に「どうやって」移住(移転)させるのか、ということについては各社ごとの解釈と分類がある。
その分類はレガシー上のビジネスロジックと現行コードをどう扱うかによって、「BPR(Business Process Reengineering)方式」「Rebuild方式」「Rewrite方式」「Rehost方式」の4方式に分類することができる。

図1:マイグレーションの形態
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著者プロフィール
新日鉄ソリューションズ株式会社 荒木 義史
入社以来、製鉄所生産管理システムに対して、企画〜設計〜開発〜保守のソフトウェアライフサイクル全般に渡る業務に従事。現在は鉄鋼システムでの知見をもとにレガシーシステムを中心としたコンサルティング業務を担当。
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