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セマンティックWebによる情報統合 〜Web 2.0と情報活用を支えるメタデータ
セマンティックWebによる情報統合 〜Web 2.0と情報活用を支えるメタデータ

第5回:セマンティックWebの将来
著者:野村総合研究所   田中 達雄   2006/10/2
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はじめに

   セマンティックWebは、今のインターネット世界(Web 2.0の世界)における恣意的に入力されたデータや異なるメタデータの統合を容易にする技術として、そしてエンタープライズ世界では従来の統合技術/統合製品で解決できなかった問題を解決する技術として、それぞれ有望であることを解説してきた。

   最終回となる今回は「セマンティックWebの将来」と題し、コンシューマ世界ではWeb 2.0、エンタープライズ世界ではSOA(Service Oriented Architecture:サービス指向アーキテクチャ)を中心に、セマンティックWebがどのように関わり、発展していくかを解説する。

Web 2.0世界におけるセマンティックWebの発展

   Web 2.0世界におけるセマンティックWebについては、「第2回:Web 2.0世界におけるセマンティックWeb」で「タギング/フォークソノミー、マイクロフォーマット」という具体的な例を題材に解説した。だが、Web 2.0のマクロな視点(本質)を眺めると、セマンティックWebが「タギング/フォークソノミー、マイクロフォーマット」といった個別のサービスに対してのみ有効であるというものではなく、Webの世界に広く浸透していくものであることがわかる。

   Web 2.0の本質は、大量の情報と消費者のアテンションをコントロールすることで、Webビジネスを成功に導くところにある(「連載:ビジネス展開におけるWeb 2.0」を参照)。ここでいう大量の情報とは、商品情報だけでなく、消費者を深く知るための顧客属性情報(デモグラフィック)、消費者の心理的な嗜好(サイコグラフィック)、地理的な要因(ジオグラフィック)が含まれる。特に消費者を深く知る方法は、インターネットの普及やITの進歩により大きく変わろうとしている。


多様な情報収集のあり方

   例えば、サイコグラフィックを知るためには、これまで「パーソナル・インタビュー、フォーカス・グループ・インタビュー、アンケート」などから収集するしかなかったが、Web 2.0世界では「ブログ、SNS、Webアンケート、Web閲覧履歴、掲示板」で代用することが可能となっている。これらの情報は日々更新されるため、従来の方法では不可能であった消費者心理のわずかな変化もリアルタイムで読み取ることが可能になる。

   またジオグラフィックについても、従来は住所や職場の位置を「アンケートや申込書」から知る程度だったのに対し、今ではGPS携帯やICカード、RFIDなどからリアルタイムに「今居る場所、今日の行動、手に取った商品、棚に戻した商品など」より緻密な情報を収集することが可能となっている。

   技術の進化はリアルな世界をインターネットに繋げ、リアル世界とバーチャル世界の境界をあいまいなものにし、いずれは融合させていく。今はまだ、これら消費者を深く知るため方法の多くは実現されていないが、いずれユビキタス社会の到来と共に、多くの方法が現実のものになっていくだろう。

多様者する情報収集の方法
図1:多様者する情報収集の方法
出典:野村総合研究所

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野村総合研究所 田中 達雄
著者プロフィール
株式会社野村総合研究所  田中 達雄
1989年4月に富士通株式会社に入社。ソフトウェア工学を専門分野とし「UMLによるオブジェクト指向開発実践ガイド(技術評論社出版)」を共著。2001年2月に野村総合研究所に入社。現在、情報技術本部にてIT動向の調査と分析を行うITアナリスト集団に所属。Webサービス/BPMなどの統合技術、エンタープライズ・アーキテクチャなどが専門。


INDEX
第5回:セマンティックWebの将来
はじめに
  今後の課題
  サービス統合とデータ統合の両立