1970年代、アメリカの都市計画学者のリッテル氏は、組織が抱える課題の本質は2種類あると考えた。従順型問題(注1)と、厄介型問題(注2)がそれだ。そして1980年代には、厄介型問題の解決法はソフトウェア工学にもその幅を広げてきた。
「従順型問題」 |
条件 |
解決法のプロセス要件 |
解決法の技術要件 |
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- クリアな課題定義
- 外部による分析
- 結果を関係者に提案し、
受け入れる
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- 数学など専門な
分析ツール
- 最適な
ソリューションを求める
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「厄介型問題」 |
条件 |
解決法のプロセス要件 |
解決法の技術要件 |
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- 多数の観点・解析を考慮
- 参加的、インタラクティブ
- 繰り返す
- 部分的な合意を交渉
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- 多数の関連者が
わかりやすいような ダイアグラムの表現
- ソリューション空間を
共同で開拓
- オプション
- シナリオ
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表2:「従順型問題」(Tame problem)VS「厄介型問題」(Wicked Problem) 参考:"Rational Analysis for a Problematic World Revisted" Johathan Rosenhead, John Mingers)
注1:
「従順型問題」(Tame problem)は、問題点の定義がクリアーに特定され、分析される前に関係者たち(stakeholders)が定義に対して合意することができ、分析する途中に変化なしというような問題だ。関連者以外の分析専門家に情報提供し、隠し部屋で客観的に分析され、結果的に最適なソリューションを関係者に提案することが期待できる。
注2:
「厄介型問題」(Wicked Problem)は、起きている現象に対して各関係者の観点が異なることによって、さまざまな説を立てられ、その説による、異ったソリューションを要求される。ソリューションの評価は関連者以外の外部分析者によって客観的に判断されることができず、関連者たちがそれぞれ主観的に判断し、話し合って部分的に妥協しながらソリューションを決めなければならない。各関係者の行動が複雑な相互の因果関係を持つため、事前にすべての情報を把握して計画するのは非常に困難。本当に論理的なソリューションを立てても、関係者は主観的な理解ができず、計画どおり行動できなければ客観的な効果がでない。
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