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Oracle Fusion Middleware
徹底解剖!!Oracle Fusion Middleware

第4回:システム統合アーキテクチャを支えるGrid技術とその実力
著者:新日鉄ソリューションズ  金本 直子   2006/11/9
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はじめに

   1980年代から2006年に時を経たからといって、ユーザのインフラに対するニーズの本質的な部分に大きな変化があった訳では決してない。

   本連載の「第3回:ID管理基盤によるセキュリティ強化」で取り上げたセキュリティについては、昨今コンプライアンスの観点から急激にニーズが上昇している部分はある。しかしもともとエンタープライズシステムには、表1のような要件が求められてきた。
  • サービスの安定稼動
  • コスト管理
  • 経営情報の有効活用
  • コンプライアンス強化

表1:エンタープライズシステムに求められている要件

   時間が経って大きく変わったのは人ではなくビジネスであり、技術である。

   現在のビジネススピードの顕著な変化は否応なしにシステムにその変化に追従するだけの柔軟性と対応力を求めてきた。しかし、技術だけですべてを解決するには至らず、運用管理者に多大な負荷がかかっているのが現状である。

   この変化への対応力を強化する技術として注目を集めているのが「Grid(グリッド)」である。当社も早くからその技術の実現と活用のために「NS Solutions Grid/Utility Computing Center(NSGUC)」を立ち上げ邁進してきた。今回は、そのGrid技術をいち早く取り入れ、商用ソフトウェアの中で最もBusiness Gridを実現している「Oracle Grid」の現状と、今後の展望について紹介していく。


Gridとは

   まず、Gridという考え方が出てきた背景を少し考えてみよう。昨今の技術の進歩速度は非常に早く、例えば5年でCPUは10倍、ネットワークは100倍の性能を、ストレージにいたっては年率70%で密度があがっていくといった状態だ。またビジネス面を考えると、ネットワークビジネスの進化によりビジネスの仕組みを柔軟かつ、迅速に行えないと競走に勝ち残これないという状況が発生している。

   これらの変化のスピードに対応していくに従い、様々なシステムが乱立し、結果として企業の情報システムにおけるTCOが急激に上昇すると共に、システム稼働率の低下や運用コストの増大を招いているのが大きな問題となっている。

   この問題に対処するために「サーバ統合/ストレージ統合」という1つの大きなトレンドが台頭してきた。そのような中、複数のコンピュータ資源を仮想的に1つにまとめて柔軟かつ効率的な運用を可能にする、いわゆる「情報資源の仮想化技術」の1つであるGrid技術が利用されつつある。このGrid技術は以下にあげることを実現する。

  • TCOの削減
  • 変化の激しいビジネス利用に耐えうる柔軟性、安定性・堅牢性

表2:Grid技術が実現すること

   Grid技術は次世代ITインフラの核の1つといえる。ここで特にソフトウェアからのアプローチでBusiness Gridを実現しているという意味で、最もGrid技術を取り込んでいるOracle 10gについて考えてみよう。

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新日鉄ソリューションズ株式会社 金本 直子
著者プロフィール
新日鉄ソリューションズ株式会社   金本 直子
ITインフラソリューション事業部 チームリーダ
マルチメディア関連の開発に従事した後、オープン系IT基盤においてサーバ・ストレージを主領域とし、顧客システムの設計・構築・運用管理のプロジェクトマネージャ業務を担当。その後、主にバックアップおよび、ストレージ技術領域の製品評価、導入、コンサルティング業務に携わる。現在はOracle製品を中心とした製品評価、ソリューション策定、販売支援の企画から実行までに技術担当として携わっている。


INDEX
第4回:システム統合アーキテクチャを支えるGrid技術とその実力
はじめに
  Oracle Gridとは
  Oracle Gridの現状