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第3回:リファレンスを狙うVirtual Machine Manager
著者:びぎねっと  宮原 徹   2006/10/20
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Red Hatに搭載のVirtual Machine Manager

   今回評価する「Virtual Machine Manager」は、Red Hat社から今後リリースされるXenをサポートするRed Hat Enterprise Linux 5(RHEL5)に搭載される予定の管理ツールです。執筆時点(2006年10月)ではRHEL5がリリースされてなく、ツールの開発自体も進行中ですので、今回は基本的な使用感などを評価します。

Virtual Machine Managerの機能

   まず、Virtual Machine Managerの開発Webサイトのトップページにある機能紹介を引用して、Virtual Machine Managerがどのようなものか見てみましょう。なお、翻訳は意訳です。

——The "Virtual Machine Manager" (virt-manager for short package name) is a desktop application for managing virtual machines.

Virtual Machine Managerは仮想マシンを管理するためのデスクトップアプリケーションです(Webアプリケーション型の管理ツールではないということですね)。

It presents a summary view of running domains and their live performance & resource utilization statistics. A detailed view presents graphs showing performance & utilization over time.

稼働中のドメインの状況を表示します。詳細表示はパフォーマンスと稼働状況を時系列にグラフで表示します。

Ultimately it will allow creation of new domains, and configuration & adjustment of a domain's resource allocation & virtual hardware.

新しいドメインの作成やドメインリソース、仮想マシンの設定/調整が行えます。

Finally an embedded VNC client viewer presents a full graphical console to the guest domain.

組み込みVNCクライアントがフルグラフィックでドメインのコンソールを表示します。

The application logic is written in Python, while the UI is constructed with Glade and GTK+, based on mockups provided by UI interaction designers. The libvirt Python bindings are used to interacting with the underlying hypervisor. This enables the application to be written independant of any particular hypervisor technology, although Xen is the current primary platform. When libvirt is ported to additional hypervisors minimal effort will be required to update the management UI.

アプリケーションロジックはPythonで記述されており、UIはGladeとGTK+でできています。Hypervisorとはlibvirt Pythonでやり取りを行っています。これは特定のHypervisorから独立してアプリケーションを記述できるようにします。現在はXenが主なプラットフォームですが、libvirtが新しいHypervisorに対応したら、最小限の変更で管理UIをアップデートできます。

Virtual Machine Managerの開発Webサイト
http://virt-manager.et.redhat.com/

   以上、Webサイトに紹介されている機能をまとめると、Virtual Machine Managerが備えている主な機能は表1にあげる4つとなります。

  • 仮想マシンの作成
  • 仮想マシンの設定変更
  • 稼働中のドメインの状況表示
  • VNCによるグラフィックコンソールの表示

表1:Virtual Machine Managerの機能のポイント

   機能の根幹は仮想マシンを管理するためのライブラリである「libvirt」でできており、現在のところはXenのみの対応ですが、今後は異なる仮想マシン環境(Hypervisor)への対応も可能となっているようです。現状では、それぞれの環境の違いをどこまで吸収できるのかわかりませんが、UIをある程度統一できるのは利用者として大きなメリットとなるでしょう。


Virtual Machine Managerのインストール

   それでは、実際にVirtual Machine Managerを使ってみます。Virtual Machine Managerを利用可能にするために、リリース前のバージョンですがFedora Core 6 test 3(以下、FC6)を使用しました。その際のVirtual Machine Managerのバージョンは0.2.3です。なお、ハードウェア環境には、Intel VTに対応しているPentium Dを用いました。

   インストール手順を非常に簡単です。まずはFC6を通常通りにインストールし、システム稼働したらyumコマンドを使って「xen」「kernel-xen」「virt-manager」の各パッケージをインストールします(依存関係の解決はyumが行ってくれます)。

# yum install xen
# yum install kernel-xen
# yum install virt-manager

   次に起動用のカーネルをXen用のカーネルに変更し、システムを再度起動し直します。これでXenの稼働環境の構築は終了です。Xen環境の構築も随分と簡単になりました。なお、Xenのバージョンは3.0.2でした(注1)。

※注1: 2006年10月18日にリリースされたkernel-xen 2.6.18-1.2798.fc6ではXenが正常に動作しないようです。yumコマンドを使った上記のインストール方法が一時的に使用できなくなっているので注意してください。

Fedora Core 6(正式版)ではカーネル2.6.18を採用し、Xen 3.0.3がバンドルされています。この環境では、問題なく動作します。

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株式会社びぎねっと 宮原 徹
著者プロフィール
株式会社びぎねっと   宮原 徹
代表取締役社長兼CEO。OS/2上でMS-DOSやWindowsを動作させるVDM(Virtual DOS Machine)を皮切りに、デモ環境構築のためにVMware WorkstationやVirtual PCなどをいじっているうちに、すっかり仮想化技術にはまってしまった。


INDEX
第3回:リファレンスを狙うVirtual Machine Manager
Red Hatに搭載のVirtual Machine Manager
  Virtual Machine Managerの実行
  仮想マシンの管理