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Xen管理ツールの現状
第3回:リファレンスを狙うVirtual Machine Manager
著者:
びぎねっと 宮原 徹
2006/10/20
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仮想マシンの管理
稼働しはじめた仮想マシンはVirtual Machine Managerのメインウインドウ(図1)のリストに追加され、CPU使用率やメモリ使用率が表示されます。現在のところ、ディスクI/OとネットワークI/Oは表示できませんが、WebサイトにあるUIモックアップにはこれらの項目が含まれており、「View」メニューでの設定項目にも含まれていることから、今後の実装を期待されます。
さて、この仮想マシンのCPUやメモリを変更したいと思って、仮想マシンを終了させてみます。仮想マシンの詳細ウインドウにある「Virtual Machine」メニューから「Shutdown」を選ぶことでシャットダウンが行えます。一覧リストからシャットダウンが行えないのはやや不便です。そしてシャットダウンが終わると、詳細ウインドウが消えると共に、突然に仮想マシンリストからも消えてしまいます。つまり、現時点では使用可能な停止中の仮想マシンを見ることができない状態になっています。
現在のところ、Xen自体が仮想マシンのリポジトリのようなものを持っておらず、そのためVirtual Machine Managerもどのような仮想マシンがあるのかわからないため、このような仕様となっているのでしょう。Xenも3.0.4で仮想マシンの管理機構を用意する予定となっているので、今後のバージョンアップではきちんと管理が可能になると思われます。
前述の「Virtual Machine」メニューには、「Save」という選択肢も存在しています。こちらは正常に動作しているようです。ファイルを指定して、仮想マシンの状態を保存します。仮想マシンは停止するので、再度起動するには、Virtual Machine Managerの「File」メニューから、「Restore saved machine...」を選択して、保存したファイルを読みます。
この辺りはXenのxmコマンドでもサポートされている機能なので、特別な機能というわけではありませんが、一通りの機能はサポートするという方向性のあらわれの1つとして捉えることはできると思います。
VMware Virtual Centerと比較して
それでは最後に、VMware Virtual Centerと比較してみましょう。
一元管理
複数のXenに接続できますが、サーバ間でのやり取りなどは考慮されていません。
運用の自動化
機能が実装されていません。
リソースの最適化
リソースの使用状況を監視できますが、パラメータの動的な変更などはサポートされていません。また、Xenのライブマイグレーションもサポートされていません。
高可用性
基本的に1台のサーバを管理することしか考慮していないため、ライブマイグレーションやHAなど、高可用性に関わる機能はサポートされていません。
表2:Virtual Machine ManagerとXenEnterprise
基本的に前回評価したXenEnterpriseと同様、大規模な仮想マシン環境の管理にはまだおよばないといったところでしょうか。
まとめ
Virtual Machine Managerは、libvirtというライブラリの機能やXenの機能にかなり依存しているところもあり、バリバリの管理ツールを目指しているというよりは、デモ的なリファレンス実装といった印象を受けます。
正式リリースはされていないので、改良されていくかと思いますが、デフォルト状態のインターフェースでは大規模にも耐えることは難しいかもしれません。しかし、自分でlibvirtを使ってアプリケーションを開発するといったことも可能になるかもしれません。
他にもlibvirtはXen以外の仮想マシン環境への拡張など、興味深い点もありますが、まずは正式リリースに期待しつつ、待ちたいところです。
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著者プロフィール
株式会社びぎねっと 宮原 徹
代表取締役社長兼CEO。OS/2上でMS-DOSやWindowsを動作させるVDM(Virtual DOS Machine)を皮切りに、デモ環境構築のためにVMware WorkstationやVirtual PCなどをいじっているうちに、すっかり仮想化技術にはまってしまった。
INDEX
第3回:リファレンスを狙うVirtual Machine Manager
Red Hatに搭載のVirtual Machine Manager
Virtual Machine Managerの実行
仮想マシンの管理