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昔とは明らかに違うシンクライアントの実力
第2回:Windows環境の実現と導入のポイント
著者:
TIS 小林 千恵
2006/10/26
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はじめに
前回に引き続き、シンクライアント(Sun Ray)の導入による効果と実際に利用しているユーザの声について紹介します。また、導入の際のポイントについて解説していきます。
多様な業務環境の実現
現在、日本企業の多くの業務アプリケーションがWindows環境で稼働しているように、当社でも業務環境としてのWindowsの実現は必須要件でした。さらに開発や運用といった業務に応じて、様々な環境への接続が必要です。シンクライアントシステムに移行しても、業務効率を維持する必要があります。
以下が当社の業務分類とオフィスシステム環境です。
業務内容
OS
備考
一般OA
Windows
グループウェア、Office、Webブラウザなど
開発業務
UNIX、Linuxなど
案件や業務に応じた開発環境を利用
運用業務
Mainframe、UNIX、
Linux、Windowsなど
運用対象となるシステムに応じて多種
表1:業務分類とシステム環境
このように様々なOS環境に接続する必要性より、当社ではTarantella Secure Global Desktop Serverを導入し、複数の環境への接続を可能としています。Sun Rayサーバによるアクセス制御により、業務にあった環境へのアクセスをスマートカード1枚で実現することが可能です(注1)。
注1:
Sun Ray Software4では、Windows環境への接続のみであればTarantellaは不要です。
図1は当社におけるシンクライアント環境となります。
図1:シンクライアント環境
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)
ユーザとしての使用感について
業務での利用を開始してから、機能や使用感の評価のためにユーザアンケートを実施しました。その結果をいくつか紹介しましょう(表2)。
項目
ユーザ評価
セキュリティ
◎:高評価
業務効率
◎:高評価
ユーザ個々の管理作業
○:評価できる
Sun Rayサーバの運用管理
△:現在評価中
表2:ユーザの評価
まずセキュリティについて、Sun Rayのアーキテクチャにより端末からの漏洩リスクがなくなったことで高評価を得ました。
業務効率については、Sun Rayのスマートカードの操作性など、セッション移動やカードの保管のしやすさで高い評価が得られました。スマートカードによるモビリティによって席の移動がしやすくなり、例えばミーティングスペースに設置したSun Ray端末に自身の環境を表示しながらの打ち合わせが可能になりました。
運用面についても、各自で行っていたクライアントPCの管理作業の負荷がなくなった点が評価されています。当初は、キーボード入力やマウス操作の反応が遅いといった意見もありましたが、サーバの設定やチューニングを行うことで業務に支障のない程度に改善されました。
この他にユーザ個々の管理作業負荷が削減された反面、新たな管理工数としてSun Rayサーバへの運用管理が追加されました。しかしながら、ベースとなる端末台数分を一極集中にて対応が可能になったため、結果的に全体の管理工数は削減されていると考えます。
約2,800台の導入予定
2006年度は、全社へのシンクライアント導入に先駆ける形で約300台の導入を予定しており、2006年7月上旬の時点で約130台が実際の業務利用を開始しています。8月末には、営業部門の業務環境がスマートカードを利用した端末共有と内線電話のモバイル化によって、フリーアドレス化されています。
今後は2008年度に向けて、全社で約2,800台を段階的に導入していく予定です。またこれまで紹介した効果や評価の詳細は、2007年1月〜3月に第一次導入の振り返りとして行う予定です。今後全社に展開された時点で、今以上に大きな数値としてあらわれると予測しています。
図2:導入スケジュール
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)
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著者プロフィール
TIS株式会社 小林 千恵
事業統括本部 産業第3事業部 基盤ソリューション部
オープン系システムのインフラストラクチャ設計・構築を経て、TIS社内における基盤フレームワークを策定。現在はシンクライアントをはじめとする基盤ソリューションのアカウントSE・プリセールス業務に従事。
INDEX
第2回:Windows環境の実現と導入のポイント
はじめに
シンクライアント導入時の検討項目
Sun RayにおけるWindows環境の実現