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情報の開放が経営を変える戦略的情報活用へのアプローチ
第2回:何故、情報活用ができていなかったのか
著者:
サイベース 富樫 明
2007/1/29
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意思決定に必要な情報を集める
第1回で解説した意思決定に必要とする情報を活用していくには、どのデータを必要とし、どの情報が不足しているのかといったことからはじまり、社内に存在するデータベースから必要とするデータを集め、ユーザ自身が自由に分析できる環境整備が必要になります。
今回は、まず情報活用するための必要な環境整備について解説し、続いて戦略的に情報を活用するための方法を明かします。
情報活用の実態
情報活用に関しては、経営情報システムやデータウェアハウス、ビジネスインテリジェンス、ナレッジマネジメントといった様々な言葉で語られ、多くの企業で様々な試みがなされてきました。しかし、全社的な情報戦略として社内で幅広く情報活用ができる仕組みを構築している企業は多くありません。
多くの企業が開放するデータを制限し、特定の部門の特定の業務に特化したいわゆるデータマートを構築しているというのが実態のようです。そして、このデータマートが乱立してしまい、管理やメンテナンスそして情報活用そのものに大きな問題を抱える企業もあります。
技術面・運用面の課題
では、情報活用における技術面・運用面の課題を、「分析・レポーティング」「分析系データベース」「データ連携」の3つに分けて以下に示します。
利用者に情報提供をするために、情報システム部門が定型業務アプリケーションでは作成できないレポートやテンプレートを別途作成しなければならず、結局、開発バックログが溜まり、タイムリーな情報開放ができていない
レポーティングツールをユーザに提供し、ユーザ自身による自由な分析を試みたが、結局ユーザに使いこなせず、情報活用が進まない
複数の業務データベースから横断的にデータを集めることができず、開放できる情報が質、量ともに不十分である
サマリデータしか提供されず、自由な分析ができない
利用者が満足できる情報開放レベルを確保できないため、システムに対する評価が低い
表1:分析・レポーティング
開放するデータを1ヶ所に統合したが、データ量が膨大になりすぎ、性能面で実運用に耐えられなくなっている
性能問題を解決するためのデータベースチューニングの工数が大きくなり、運用面で継続が困難になっている
データ量の増加に伴うハードウェア調達コストが高騰し、継続・拡大が困難になっている
分析系データベースにサマリデータを格納しているため、新規の分析ニーズを満たすことができない
表2:分析系データベース
データ連携プログラムを自社開発しているため、新しいデータに対する要望があがった場合、プログラム変更・開発に大きな工数が発生する
ある特定の開発者以外にプログラム変更を行うことができず、長期の開発バックログとして残ることがあり、タイムリーな情報提供が困難
開発者を常にサポート要員としてアサインしておかなければならない
異なる種類の業務データベースから、1つの分析系データベースにデータ統合を行う仕組みが出来ておらず、業務横断的なデータ分析のニーズを満たすことができない
表3:データ連携
これらは長い間、ユーザや情報システム部門を悩ませてきた難しい課題であることに変わりはありません。しかし、これから「情報を開放する」仕組みを構築する企業にとっても、現在の仕組みを改善して真の情報開放を目指す企業にとっても、これらの課題解決は避けては通れないテーマであるといえます。
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著者プロフィール
サイベース株式会社
マーケティング本部 本部長
富樫 明
日系大手コンピュータメーカで海外ビジネスに21年間携わった後、ベリタスソフトウェア、シマンテックでマーケティングに従事。2006年より現職。著書に「内部統制今知りたい50の疑問」
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第2回:何故、情報活用ができていなかったのか
意思決定に必要な情報を集める
レポーティングツールは「ツールの機能ありき」で考えないこと
戦略的情報活用へのアプローチ