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第1回:仮想化 〜実装技術は様々
著者:
ThinkIT編集局
2007/3/9
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霞がかった「仮想化」
ここ数年注目されている技術の1つが仮想化だ。しかし仮想化が持つ言葉の意味は広く、その技術や手法は様々であり、なかなか理解しにくい技術でもある。頭の中では、仮想化という霧の中にバーチャルマシン、エミュレート、仮想マシン、VMware、Xen、Virtual Serverなどといった単語が見え隠れしているだけという方もいるのではないだろうか。
そこで今回は、仮想化とはどのような技術であるのかを改めて考えてみる。仮想化が求められる背景を簡単に解説した上で、仮想化の種類を整理し、仮想化の仕組みをみていく。さらにそれらを実現する仮想化ソフトウェアの特徴を紹介していく。
企業システムの課題が必要とした仮想化技術
ここ数年で企業システムの問題を語る上でもはや定番となっているフレーズの1つが、「サーバの乱立とシステムの複雑化による維持管理コストの増大、サーバ利用率の低下、柔軟性の欠如」である。これに対する解となるのが「サーバの統合とリソースの最適化」といわれている。この解を導きだす手段の1つに仮想化技術がある。
仮想化技術にも様々な見方があるが、企業が求めているのは、複数のリソースを統合/分散し、必要なところに必要なだけ配分し、リソースの最適化を実現することである。ようするに、ITリソースを電気や水道のように使いたいときに使いたいだけ使える「ユーティリティコンピューティング」ともいえる。
図1:ユーティリティコンピューティング
では、このユーティリティコンピューティングを実現する仮想化技術にはどのようなものがあるかをみていこう。
サーバ仮想化技術の分類
サーバ仮想化とは、1台の物理サーバのリソースを分割して複数のOSを稼動させたり、複数の物理サーバのリソースを統合して1台のサーバのように見せる技術である。近年よく話題としてあがっているのは主に前者の方法であるため、ここではそれを取り上げる。
なお、リソースを分割するサーバ仮想化を実現する方式には、UNIXサーバ系が対応する「パーティショニング方式」、専用のホストOSを要する「ハイパーバイザ方式」、アプリケーションとして動作する「アプリケーション方式」の3つに分類することができる。
パーティショニング方式
パーティショニング方式は、主に大きく分けて物理パーティショニングと論理パーティショニングの2種類がある。
物理パーティショニングは、物理サーバのCPU・メモリ・I/Oカードを1つの塊とした物理的なブロック単位で分割する方式だ。物理パーティショニングでは、ハードウェア障害や負荷の影響がパーティション同士で影響を与えないのが特徴である。
論理パーティショニングは、CPU単位・メモリブロック単位で分割する方式で、どのパーティションにも自由にリソースを配分することができる。しかし物理パーティショニングと違って、CPU・メモリを共有するため、故障や負荷の影響がでやすい点に注意したい。
図2:パーティショニング方式
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)
パーティショニング方式は主にUNIX系ベンダーが採用しており、例えばHPでは物理パーティショニングを「nPartition(nPar)」、論理パーティショニングを「Virtual Partitioning(vPar)」、IBMでは「Physical Partiotioning(PPAR)」「Logical Partitioning(LPAR)」との名称で実装している。
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