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ストレージ管理の標準化

第2回:ストレージ管理の複雑さを解消するための方法

著者:シマンテック   2007/4/26
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ストレージ管理の複雑さを解消するための方法

   データセンターに多数のベンダーがかかわっているために生じる作業の複雑さを解消するには、基本的に2つの方法があります。
  • ベンダーや製品の種類を減らすこと
  • 汎用性の高い多目的のハードウェアコンポーネントやソフトウェアコンポーネントを採用すること

表1:作業の複雑さを解消する方法

   データセンターにかかわっているベンダーの数を減らす方法は、一見魅力的に思えます。ベンダーの数を減らせば、1つのベンダーから購入する機器やサービスの数が増え、結果的にそのベンダーの顧客としての自社の価値を高めることができます。

   しかし、ベンダーの数を減らす方法には大きな欠点もあります。いわゆる「ベンダーロックイン」という状況にはまり込んでしまうからです。データセンターで1つのベンダーの機器に対する依存度が高まると、他のベンダーから低コストの最新テクノロジを導入できる場合や、他のベンダーとの関係を築くほうがメリットがある場合でも、現在のベンダーの製品やサービスから乗り換えるのが難しくなってしまいます。

   実際に、各分野の「クラス最高」の品質を目指すベンダーが群雄割拠するIT業界の現状の背後には、ユーザーの側のこうした考え方があるという見方もできます。

   長い目で見れば、ストレージ管理にかかわる作業の複雑さを解消し、コストを削減するためのより効果的な方法は、データセンターで使用しているコンピュータやストレージのプラットフォームのほとんどに対応した広範囲の管理機能を備えたハードウェアコンポーネントやソフトウェアコンポーネントを探し出すことです。

   サーバーの仮想化を目指す近年の動きは、こうした発想の表れでもあります。サーバーの仮想化とは、Windows環境とLinux環境など同等の機能を有する複数のシステム環境を構築し、部門ごと、または限定的に使うアプリケーションごとに、必要に応じて使い分けるという考え方です。

   とはいえ、すべてのアプリケーションをすべてのプラットフォームで実行できるわけではありません。通常、基幹業務で使うアプリケーションの場合は、エンタープライズクラスのサーバーの機能や堅牢さが必要になります。したがって、企業のデータセンターに複数のコンピュータプラットフォームが存在するのは、将来を見越した上でのやむを得ない選択でもあります。

   ストレージそのものの標準化はそれほど複雑ではありません。ストレージの基本的な機能は、コストを抑えて未使用のキャパシティを提供することです。実際に、プライマリストレージベンダーで標準化を図りながら、テクノロジの遅れや不利な価格設定を回避するための安全策としてセカンダリベンダーとの関係も保持している企業は少なくありません。

   ところが最近では、重要性の低いデータをオンラインで保持するためのコストを削減するために、デスクトップレベルのディスクドライブを使うディスクアレイが各ストレージシステムベンダーから出回るようになりました。その結果、「マルチティア」のストレージシステムを採用する動きが各企業の間で広まっています。

   そのようにしてストレージの全体的なコストを削減するために、一方では、ベンダーや製品ラインの数が増えたり、データの種類に応じて正しいストレージデバイスを使うための管理作業が複雑化したりする面での負担を受け入れざるをえないというわけです。

   しかし、ストレージ管理が複雑化する最大の原因は、ストレージやストレージネットワークを管理するためのソフトウェアにあります。ストレージやネットワークのベンダーは、自社が提供するコンポーネントを管理するためのツール群を用意しています。そのような多種多様なツールセットを1つにまとめるための統合作業は、ユーザーの側の責任です。

   リモートレプリケーションや基幹データのスナップショットといった最新技術を活用するデータセンターでは、状況がさらに複雑になります。ストレージやプラットフォームのベンダーは、こうした機能を備えた自社製品に特化したツール群しか用意していません(時には、他のベンダー製品に対応したツールを用意することもありますが)。

   アプリケーションストレージのスタックのどこでこれらの機能を実行するか(たとえば、ホストを基盤としたレプリケーションなのか、ディスクアレイを基盤としたレプリケーションなのか)、そのためにどのベンダーのソフトウェアツールを使うかを選択するのは、ユーザーです。

ストレージ管理の複雑さに関する問題
図1:ストレージ管理の複雑さに関する問題

   したがって、図1にあるとおり、企業のデータセンターのストレージ管理に関する状況は、次のようにまとめられます。

  • データセンターには、コンピュータシステムやストレージシステムのプラットフォームが複数存在しており、さまざまな理由から、当分の間その状況は変わらないと考えられます。重要なアプリケーションはプラットフォームに依存しています。標準や文化の異なるIT企業の合併によって状況が複雑になることもあれば、データセンターで新しいプラットフォームテクノロジを徐々に導入したために状況が複雑になることもあります。コスト、機能、製品の可用性にはそれぞれ違いがあるので、同種システムだけのデータセンターは現実的ではありません。

  • ストレージ管理の複雑さの主な原因は、ハードウェアコンポーネントそのものにあるのではなく、むしろ1つのプラットフォームまたは1種類のストレージハードウェアに対応した1つの機能だけを実行するツールが多すぎることにあります

  • ツールが1つ増えれば、それだけ管理コストが増えます。短期的には、管理者の研修が必要になります。長期的には、各ツールを操作する技術を持った管理スタッフを、そのツールを使用し続ける限り抱え込まなければなりません

表2:企業のデータセンターのストレージ管理に関する状況のまとめ

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本連載は、シマンテックイエローブック「ストレージ管理の標準化〜Veritas Storage Foundation.を使って、企業全体のストレージ管理効率を向上」からの転載記事です。シマンテックイエローブックとは、ITプロフェッショナルの方や一般の技術者に対して、技術的なノウハウを提供する本です。これらの本はシマンテックのソリューションを使って実際のビジネスや技術上の問題を「どのように解決するのか」について書かれています。またベストプラクティスに基づく推奨事項に加え、インストール、設定、製品の統合についても詳しく解説されております。詳しくは、下記のURLを参考にしてください。

http://www.symantec.com/ja/jp/enterprise/yellowbooks/index.jsp

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シマンテックは、情報のセキュリティ、アベイラビリティ、整合性の確保に役立つソリューションを個人や企業のお客様に提供する世界的なリーダーです。米国カリフォルニア州クパティーノに本社を置くシマンテック コーポレーションは、現在、世界40ヶ国以上で事業を展開しています。

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