本連載では、SUSE Linux Enterprise Serverの概要から導入の手順に至るまで詳しく紹介していきます。SUSE Linux Enterprise Serverはハイエンドシステム向け、と思っている人も多いようですが、この連載で「もっと身近に使えるLinux」であることをご理解いただければと思います。今回は最初ということもあり、SUSE Linux Enterprise Serverや一般的なLinuxを取り巻く環境をお話していきます。
図1:SUSE Linux Enterprise Server
ドイツ気質で丹念に作り上げた企業向けLinux
SUSE Linux Enterprise Serverというと、ドイツ気質で丹念に作り上げた企業向けLinuxという印象をもたれている方が多いかもしれません。そのミッションクリティカル向けシステムとしての高い完成度と優れた安定性を支えているのが、ドイツのニュールンベルグを中心としたノベル開発部門で培われた長年のシステム開発におけるノウハウにあります。
優れたパフォーマンス
すでにメインフレームの世界のみならず、HPC、EDAといった分野ではSUSE Linux Enterprise ServerはLinux Serverのデファクト・スタンダードと認識されています。それはNovellのドイツのニュールンベルグにある開発部門とIBMのドイツのボブリンゲンの研究所で1999年から行われているメインフレーム関連における共同開発や、また64bit Linuxカーネル開発ではNovellがリードすることによってHPC、EDA分野で他社より優れたパフォーマンスを実現したのが原因といわれています。
最近の行ったTPC-Cベンチマークで、SUSE Linux Enterpriseと他社Linuxのベンチマーク別の比較では、SUSE Linux Enterprise Serverは、価格に対して得られるパフォーマンスが最も高いLinuxにランクされています。
企業の基幹システムに耐え得る高い信頼性を実現
高い信頼性を必要とする企業システムでは、信頼性の高いサポートサービスが欠かせません。サポート専門家協会(The Association of Support Professionals)は、2007年の「Best Web Support(Webサポート最優秀賞)」にノベルを選び、ヘルプデスク協会(The Help Desk Institute:HDI)はノベルに「Team Excellence Award for External Support(外部サポートに関するチームエクセレンス賞)」を授与しました。またノベルは、業界主導の標準ベースのサポート認定における「Support Center Practice(SCP)認定プログラム」取得した唯一のLinuxベンダーであると発表しています。
SUSE Linux Enterprise Server 10の概要
最近のバージョン「SUSE Linux Enterprise Server 10(SLES10)」では信頼性、パフォーマンス、セキュリティの強化、コスト削減にフォーカスといった特徴が挙げられます。
最新の仮想化技術
AppArmorによる強固なセキュリティ
容易な運用管理
表1:SUSE Linux Enterprise Server 10の特徴
図2:SUSE Linux Enterprise Serverの画面例 (画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)
今回、このミッションクリティカル、ハイエンドシステムを追求したSUSE Linux Enterprise Serverを詳しく紹介していきましょう。