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システム作りのもやっと感を解消する「MOYA」
第1回:要求定義方法論「MOYA」とは?
著者:
NTTデータ 平岡 正寿
2007/10/3
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はじめに
最近、システムの要求に関する話題がいろんなメディアで取り上げられています。
「システムをいかに作るか」については、様々なフレームワークや開発プロセスなど、多くの実績や研究が存在しており、かなり充実した状況になりつつあります。
そうなると、次に考えることは「どんなシステムを作るか」ということになります。
いくら品質がよく、性能もよいシステムだとしても「顧客に求められていないシステム」では意味がありません。
とはいっても「どんなシステムを作るか」については、それ程簡単な答えが用意されているわけではありません。「どんなシステムを作ればよいか」という疑問を突き詰めれば「そのシステムに関係する多くの顧客を幸せにするにはどうすればよいか」ということになるのです。
以下のような異なる状況では、それぞれにおける「幸せになることの意味」が違ってきます。つまり同じシステムでも状況によって、顧客が幸せになれるシステムだったり、幸せになれないシステムだったりするわけです。
ビジネスを取り巻く環境
システムを使う人の情報リテラシー
システムを使う人の範囲(1つの部署の人が使うのか、全社的に使うのか、それとも会社をまたがって利用されるのか)
そのシステムの影響を受ける人々
表1:システムを取り巻く様々な状況
非常に簡単な例をあげてみましょう。例えば日常の作業として帳票をチェックし、内容に誤りがなければ印刷した上で上司に回覧する、という仕事をしている人がいたとします。この人物は、チェックの自動化や回覧のシステム化(ワークフロー化)に対して強い要求を持っていると思われます。
ただし、上司が確認した記録をファイリングするような仕事をしている人にとっては、チェックの自動化もワークフロー化も特に興味はないと考えられます。記録保持のためにファイリングが必須の業務だとすると、電子化によってファイリングするための印刷作業が増える分だけ、電子化に反対するかもしれません。
要求というものは立場や状況が異なれば、その内容がまったく違ったり、要求の強弱も異なってしまいます。そんな中で関係者(システムを使うエンドユーザだけではなく、システムに関係する人。今後ステークホルダと呼びます)すべてが「よいシステムだ」と納得するのは難しい課題なのです。
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著者プロフィール
株式会社NTTデータ 平岡 正寿
技術開発本部
ソフトウェア工学推進センタ
SIerやコンサルティング会社を経て、2004年よりNTTデータに。システム開発がみんなを幸せにするには「上流工程こそ重要」という想いからMOYA策定プロジェクトに参加。現在、MOYAをブラッシュアップするとともに、多くの人に「知ってもらう・使ってもらう」ことに尽力している。
INDEX
第1回:要求定義方法論「MOYA」とは?
はじめに
NTTデータの要求定義方法論「MOYA」とは
要求を目に見えて理解できる形に構造化する