完全先取り! iPod touch開発
第1回:iPod touchにアプリケーションがインストールできる不思議
著者:masuidrive
公開日:2007/11/27(火)
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iPod touchになぜアプリケーションがインストールできるのか
本連載では4回に渡ってiPod touchで動作するアプリケーションの作り方を解説します。
iPod touchは、2007年9月28日に発売されたiPodシリーズの最新版です。今までのiPodシリーズのようにホイールを使ったユーザインターフェースではなく、全面にタッチパネル搭載をした液晶を搭載しています。このインターフェースは、2007年6月末にアメリカで発売された携帯電話「iPhone」と同じ物であり、「iPod touchはiPhoneをベースに電話機能の除いた物」といわれています。
特集記事「アレで使われている言語って何?」の「第1回:iPod touchはハンドヘルドMac!?」で紹介していますが、iPod touchではMacと同じ「OS X」というOSが稼働しています。iPod touchはその名の通りiPod、携帯音楽プレイヤーとしてリリースされていますが、中身はほとんどパソコンと同じ作りになっています。
iPod touchは音楽プレイヤーとして販売されているため、パソコンのようにアプリケーションをインストールすることができません。実際、アップル社は「アプリケーションをインストールすることはできない」とアナウンスしていました。
さらに「iPod touchでアプリケーションを動かしたい場合は、Webアプリケーションとして提供してSafariで動かすように」とし、Webアプリケーション向けのユーザインターフェースガイドラインもリリースしています。
しかし、Webアプリケーションではできることが限定されており、速度や表現力に限界があります。最大の問題となるのが「ネットワークに繋がっていない時には使うことができない」という点です。
そこで、Webアプリケーションに満足できない一部の人たちが自力でアプリケーションを作成し、インストールする手段をみつけ出すことにした、というのが現在の状況なのです。
図1:JailBreak後のiPod touch
JailBreakはなぜ実現できたのか
ここで、iPod touchにアプリケーションをインストール可能とするため、今もっとも広く利用されている「JailBreak」について解説しておきます。JailBreakでは、iPod touchに用意されているWebブラウザ「Safari」で特定のURL、具体的にはTIFF画像を表示させることで、予期されていないコードを実行させています。
iPod touch上のOS Xには、多くのオープンソースライブラリが使われています。TIFF形式の画像を表示する「libtiff」ライブラリもその1つです。実はiPod touchに搭載されているlibtiffにはバグが存在していたのです。
オープンソースのライブラリの中にはバグが存在するものもあります。ほとんどのバグは発見されるとすぐに修正されたバージョンがリリースされますが、iPod touchの場合は古いバージョンがそのまま含まれていたのです。
ではいったい、このバグはどのような物だったのでしょうか。詳しくは次ページで解説します。 次のページ