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はじめに
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商用のクラスタソフトウェアがその市場を伸ばす中で、オープンソースソフトウェアによるクラスタソフトウェアも少しずつ改良が加えられ、その機能は進歩し続けています。
クラスタソフトウェアはミッションクリティカルな分野で使用されることが多いため、「ベンダーの保障がないと使用できない」と導入を躊躇する企業が多いと思われているかもしれません。しかし、その特徴と適用分野を見極めることで、有効な運用が可能になります。
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オープンソースにおけるクラスタ関連ソフトウェアの現状
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本連載の第1回の「クラスタリングの種類」でも紹介したように、一口にクラスタソフトウェアといっても、用途によって大きく3種類に分類されています。次にクラスタソフトウェアの用途とそれに対応したソフトウェアを紹介します。
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HAクラスタ
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Heartbeatは2台のシステムで主にアクティブ・スタンバイ型のHAクラスタを構築する際に用いられ、HAクラスタとしての基本的な次の機能を持っているソフトウェアです。
- 共有リソースの引き継ぎ
- サーバの稼動監視
- サービスの監視
表1:HAクラスタの基本的な機能
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負荷分散クラスタ
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Ultra Monkeyは信頼性の高い負荷分散クラスタを実現するためのプロジェクトであり、単一のソフトウェアの名称ではありません。表2のようにいくつかのオープンソースのソフトウェアを組み合わせて使用することにより、1つのソフトウェアのように機能することを実現しています。
ハートビート |
主にIPアドレスの引き継ぎに使用 |
LVS (Linux Virtual Server) |
http://www.linux-vs.orgで開発したロードバランサ構築のためのソフトウェア |
ldirectord |
ハートビートに付属するソフトウェアで実サーバの死活やTCPのサービスを監視 |
表2:Ultra Monkeyを構成するソフトウェア

図1:LVSの働き (画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)
負荷分散クラスタでは実サーバとして様々なサービスの提供が考えられますが、主にhttpやhttpsプロトコルに対してのリクエストを分散して処理するために活用されることが多いようです。
負荷分散クラスタの場合、そのトラフィックのロードバランスを行うシステムに障害が発生するとすべてのサービスが停止してしまうために、一般にハートビートのようなHAクラスタの技術を使用して可用性を高めた状態で運用されます。
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HPCクラスタ
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BeowulfはHPCクラスタを実現するための仕組みの総称であるため、特定のソフトウェアを指している訳ではありません。ソフトウェアとして、PVM(注1)、またはMPI(注2)が一般には使用されているようです。
Beowulfの特徴として、市販の安価なPCを複数使用し、クラスタ専用の高速なネットワークを介して、特別なハードウェアを使用せずに計算速度の向上をはかれることがあげられます。
世界のスーパーコンピュータのトップ500を公開しているWebサイト(注3)でも、近年Beowulfの仕組みを利用したクラスタソフトウェアを使用したLinuxのシステムが多数ランクインするようになり、安価な高性能システムが実現されているといえるでしょう。
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著者プロフィール
バックボーン・ソフトウエア株式会社 青木 浩朗
ストレージ専業ベンダーにて、SEおよび企画を担当した後に、2001年にBakBoneSoftware入社。主に大手ベンダーのSEを担当しながら、テクニカル・マーケティングとして、各種講演や執筆活動を行っている。最近は、特にデータベースとクラスタリングに注力し、検証レポートを作成するのをライフワークとしている。
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