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先進諸国との対比におけるIT投資/ITコストダウンとITコストマネジメント |
第3回:ITガバナンス上のITコストマネジメントに必要な視点
著者:日本情報システム・ユーザー協会 2006/3/16
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ITガバナンス上のITコストマネジメントの視点
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ITガバナンスとして、ITコストを管理する視点は表1のものがある。
- ITコスト効果評価 −コストマネジメント上の対応−
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- 企業/事業部門ごとのITコスト把握
- 業務ごと(アプリケーションごと)のITコスト把握
- IT資産評価 −コストマネジメント上の対応−
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- IT資産分類の基づくITコスト把握
- IT資産のシステムライフのITコスト把握
- IT投資/IT運用コスト集計 −コストマネジメント上の対応−
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- IT投資/IT運用上の管理項目別のITコスト把握
- IT投資/IT運用上の勘定項目上の金額集計
表1:ITコストを管理する視点
その視点を備えることにより、「企業の情報化戦略」「企業のコスト管理水準」といったITコストマネジメントの水準が決まる。
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JUAS−ITコストモデル
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JUAS−ITコストモデルは、次の「IT資産評価」「IT投資/IT運用コスト集計」を直接的に果たすためのものとして定義されている。
このために、一般的な情報化投資の統計の大分類である表2に着目して定義をしていない。
- ITインフラのハードウェア、ソフトウェア、ネットワークなどの分類
- ITインフラ費用とITインフラ保守の分類
表2:一般的な情報化投資の統計の大分類
これらの大分類の視点は、これまでの発生費用(請求書ベース)での集計には便利である。しかし、システムライフコスト、資産価値評価、システム管理などの視点から見て適切でないために、JUAS−ITコストモデルでは小分類のレベルで把握することにしている。
「ITコスト効果評価」の目的を達成するためには、企業/事業ごとや業務ごとに使用したITコストを把握するために、ITに利用している組織名(コード)、業務名(コード)を発生コスト、また費用にリンクさせて処理することが必要となる。一般的には、業務処理量/要員数などに比例した配賦率で配分することで代用している。
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ITコストモデル利用上の課題
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ITコストモデルを利用することにより、コスト項目の企業標準を設定して実際のコストを収集することができるが、表3の基本的な経理処理上の課題が発生する。
- 全社で、標準としたコスト項目で正確にデータ収集が可能か
- ITコスト項目と勘定項目上で目的(用途)別の集計管理の習慣ができるか
- 勘定項目、固定資産項目とITコスト項目の整合性(統一)を行うか
表3:基本的な経理処理上の課題
日本企業の経理部門は伝統的なインボイスベースのお金の管理で処理しており、お金の使用目的を付与したコスト管理を支援する姿勢に乏しいのが実態である。
しかし、情報システム部門が経理システムを構築しているのであるから、情報システム部門は、最低でも情報システム資産管理を効果的に行う仕組みを経理システムに盛り込みITコストマネジメントの仕組みを作る義務がある。
ITコストマネジメントを行う上での検討すべき具体的な事項には表4のものがある。
- 開発投資コストを別管理にするか(IT運用コストの分離)
- 開発終了したシステムをどの時点からIT運用コストに組み込むか
- コスト集計期間をすべてのコスト項目で統一するか(期中に発生した費用処理)
- 業務担当のエンドユーザ部門独自システムのコストを集計するか
- ITコスト項目ごとに請求書を整理し計上できるか
- 社内共通振替費用を各ITコスト項目別に集計できるか
- 業務担当のエンドユーザ部門の情報システム関連人件費を計上するか
表4:ITコストマネジメントを行う上での検討すべき具体的な事項
特に、IT投資評価を適切に行うためには表5の課題を解決出来る仕組みが必要である。
- 事業部門毎/業務毎のIT投資、IT運用コストが集計できるか
- 情報システムが複数事業部門間/業務間で使用されいるコスト配賦ができるか
- 配賦されるITコストの経費予算化は誰が行うのか、誰が承認するのか
表5:IT投資評価を適切に行うための課題
図1:ITコストの収集/分析/評価上の問題点 (画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)
このような課題があるが、情報システム部門は社内の関係部門と調整し、企業のコスト意識改革の一貫として、着実に課題解決を進めてコスト管理水準の向上を目指すことが重要である。
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著者プロフィール
日本情報システム・ユーザー協会
社団法人 日本情報システム・ユーザー協会
ユーザーの立場からの産業情報化の推進を目的とし、大手ユーザー企業を中心に、約250社の会員を擁し、経営とITに関する様々なテーマや、立場に応じた40以上の委員会、研究会、研究プロジェクトを実施し、毎年、各種調査・研究報告書の刊行や、提言を行っている。1962年、日本データ・プロセシング協会として創立、1992年社団法人日本情報システム・ユーザー協会として、全面的に拡充改組。
http://www.juas.or.jp/
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