TOP
>
システムトレンド
> 岐阜県での実験の概要
教育現場におけるオープンソース実証実験
第3回:岐阜県での実証実験
著者:
三菱総合研究所 飯尾 淳
2005/9/2
1
2
3
次のページ
岐阜県での実験の概要
岐阜県では、岐阜大学教育学部附属小・中学校と輪之内町立大薮小学校の3校に、Linux PCを導入しました。つくば市での展開と比べると若干小規模ですが、それでも1000名を越す子ども達に使ってもらうことができました。
学校
利用者数
導入台数
授業時間
利用学年
附属小
738
42
240
全校生徒
附属中
200
42
28
1〜2年生5クラス
大藪小
210
33
75
全校生徒
サポート他
−
5
−
−
合計
1148
122
343
−
表1:各実験校における利用人数、台数、授業時間
附属小学校では、コンピュータ教室に設置してあったPCがかなり古いものであったため、この機会を利用してハードウェアを一新しました。つまり、コンピュータ教室のほとんどのPCをLinux PCに入れ換えたわけです。そのためコンピュータ教室で行なわれる授業は、基本的にLinuxを使って進められることになりました。
附属中学校では、多目的ホールにLinux PCを設置しました。高校受験が控えていたため3年生は参加しませんでしたが、本実証実験の担当教諭が行なった授業を中心に、1〜2年生によってLinuxの活用が進められました。
ちょっと変わった使い方をしているのが、大薮小学校です。大薮小学校では、廊下のフリースペースにLinux PCが設置されました。
これらのPCは子ども達によって自主的に管理されています。子ども達自身の手で、授業の前にLinuxを起動し、使い終わったときにはシャットダウンを行ないます。また休み時間や放課後にも子ども達が自由に使用できるようになっていました。
写真1:大薮小学校でLinux PCを活用している様子
導入したLinux PC
岐阜県の実証実験校には、SOTECのノートPCとデスクトップPCを導入しました。使用したOSは、Turbolinux 10 Desktopです。前回説明したつくば市でのケースと同様に、無線LAN(IEEE802.11g)のアクセスポイントも導入し、普通教室でのPC利用も積極的に行なってもらうように留意しました。
教室の外へ持っていって利用する例としては、体育館に持ち出して体操の指導で活用したというユニークな利用例もありましたが、主としては、PCを設置したコンピュータ教室の中で自由に席を移動して作業できる点が有意義だったようです。
リモートアクセスによる遠隔メンテナンス
つくば市の実験校では、IBMのチームが開発した「クラスルームPC管理ソフトウェア」を利用してメンテナンスコストを下げる試みが行なわれていました。一方、岐阜県の学校では、東京からリモートアクセスで集中的にメンテナンスすることで、サポートコストの削減を試みました。
岐阜県のサポートは、アルゴ21が担当しました。学校との連絡はメールか電話を基本として、何かトラブルが生じたときにだけ外部から接続してリモートアクセスで問題解決をはかる、といった枠組みを用意しました。
図1:遠隔メンテナンスのためのリモートアクセス
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)
一般の企業へのサポートと比較すると学校のサポートは負担が軽いので、遠隔サポートで十分に対応できると考えられます。また先生からの連絡時間は放課後や休み時間に集中するという特徴もあり、比較的緊急性の高い問い合せは少ないといえるでしょう。
小中学校の場合、不都合が発生しても、予備機を1〜2台用意しておけば、とりあえず対応できるという回避策があります。授業では同一環境で一斉に利用するので、何か問題が起きたときにはその予備機と交換して授業を進めれば多くの場合は大丈夫でした。
1
2
3
次のページ
著者プロフィール
株式会社三菱総合研究所 飯尾 淳
情報技術研究部 主任研究員
1994年(株)三菱総合研究所入社。並列計算機関連、ソフトウェア工学、音響・画像処理関連と幅広いテーマで先端情報技術の研究開発業務に従事。専門は、画像処理とユーザインタフェース。著書に「Linuxによる画像処理プログラミング」、「リブレソフトウェアの利用と開発〜IT技術者のためのオープンソース活用ガイド〜」など。技術士(情報工学部門)。
INDEX
第3回:岐阜県での実証実験
岐阜県での実験の概要
利用したソフトウェアと教材コンテンツ
トラブル事例