文章表現の技術は誰にでも求められるか

2008年8月6日(水)
上原 佳彦

分割と結合で、編集点が見えてくる

 筆者は情報収集のために、よくIT系製品・サービスのWebページを閲覧するのですが、そこでよく、文字情報ばかりで埋め尽くされているようなページに出会います。テキストが占めるエリアが大きかったり、全体的に文字量が多かったりすると、読み進める気力がなくなってしまいます。こうした事態を解消するには、全体の文字量を減らしていくしかありません。

 ただ、テキストの生みの親である原稿制作者も、他人の原稿なら思い切ったリストラができるのですが、自分の原稿となると愛着があるため、どうしても思い切って削れないものです。そうなると、デザイナーやコーダーにお鉢が回ってくるわけですが、いきなり「添削しろ!」といっても難しいかもしれません。

 そこで一度、読点を句点に置き換えて、一度淡泊なくらいに短い文章のぶつ切りにしてしまうことをお勧めします。そうすることで、削除しても構わない文章を発見しやすくなったり、箇条書きにして見やすくするなどの施策が浮かびやすくなったりするからです。ちなみに、箇条書きを

    などでリスト化すると、SEO効果を得られる可能性が高まります。

     また、文章の内容を編集する際に気をつけなければならないのは、あらゆるユーザーが理解できるような言葉を選んで使うことです。カタカナ略語やアルファベット略語、業界内での専門用語などを使えば、簡単に文字量を少なくすることができます。しかし、こうした言葉は、ユーザーにわかりにくさを印象付ける一因となっています。ニッチなキーワードでのブランディングを目指している場合以外は、難しい専門用語は汎用的な言葉に置き換える方が有利です。

    例えば、入力フォームの場合

     文章表現スキルが求められる範囲は、問い合わせや資料請求などの入力フォームにも及びます。現在、ユーザーの離脱率を低減し、スムーズなコンバージョンへとつなげるための施策として、設問のわかりやすさや設問数の削減に取り組んでいる企業も多いと聞きます。しかし、中には設問数を削るだけではなく、記入例などの大切な部分まで省いてしまっているケースも多く、取り組みやすさを向上させようとして、逆にわかりにくくなってしまうという、本末転倒状態になっている入力フォームも多いようです。

     このような場合、文章表現について工夫すれば2つの設問が1つで済むことがあります。例えば「男性 or 女性」「未婚 or 既婚」を2つの設問で分けて尋ねるより、「男性・未婚 or 男性・既婚 or 女性・未婚 or 女性・既婚」というようにいっぺんに尋ねてしまった方が、ユーザーにとって煩わしくないケースもあるのではないでしょうか。

     先にも述べましたが、Webには特性があり、独特の文章表現スキルが求められます。ただ、最終的に大切なものは、ユーザーにとってのわかりやすさや使いやすさです。制作段階で一度、自分がユーザーになったつもりで見直すだけでも、多くの編集点に気づくことができるはずです。

     いかがだったでしょうか。次回は、原稿作成者とクライアントとWebデザイナーの間で起こりがちな問題の解決法について紹介します。

株式会社ミツエーリンクス
編集ディレクター。2003年にWebライターとして(株)ミツエーリンクスに入社。事例紹介ページやランディングページなど、さまざまなWebサイトのライティングに従事。現在はWebサイトのライティングをはじめ、コンテンツの企画・編集ディレクションや読みやすさを追求したテキスト改善支援まで幅広く担当。http://www.mitsue.co.jp/

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