モデリングは世界語!
モデリングとは
ここで、モデリングについて簡単に確認をしておきましょう。
モデリングとは、「抽象化された概念を組み合わせてシステムの全体像を分かりやすく視覚的に表現すること」です。
システム化を行う場合、システム化の対象となる業務の内容を理解し整理する必要があります。しかし、業務の内容は複雑で多岐にわたり、細かなところばかりに目がいってしまいがちです。そこで、対象とする業務の内容の本質的な部分をモデルの中心に配置してモデリングすることが重要になります。
システム開発では、モデリングにUML(Unified Modeling Language)を使うのが一般的です。
モデリング、特にUMLの基礎知識については、「はじめようUML!(http://www.thinkit.co.jp/article/40/)」をぜひご一読ください。
UMLモデリングの普及度とモデリング導入のメリット
それでは、実際のシステム開発において、UMLモデリングはどのくらい使われているのでしょうか?日本ではUMLモデリングの普及を示す1つの指標として、UMTPが実施しているモデリング技能認定試験(現在L1~L3のレベルを実施)があります。この試験の合格者数は2008年1月の時点で、のべ1万3千人を超えています。またモデリング技能認定試験は、日本だけではなく世界各国で実施されています。もちろん中国やベトナムにおいても、それぞれ中国語、英語で実施されています。
またアンケートでは、中国側と日本側それぞれにUMLの習熟度について尋ねています。その結果が図2です。これを見ると、日本はもちろん中国でも、実際にUMLモデリングを導入していることがうかがえます。
ソフトウェアは見えにくいという特徴があります。そのため、エンドユーザ、分析、設計者、実装者、テスターなどシステム開発の関係者の間で合意が取れていたつもりでも、実際には考えていることが異なり、後でトラブルになることがあります。
例えば、ビルの建築では、完成予想図や模型、各種設計書などから完成する前に、完成後の姿を予想することができます。そして、建築工事中でも実際に目で見て実物を確認することができます。
それに比べてソフトウェアは見えにくいので、完成しないとシステムに対する要求の合意が取れていたことの確認ができないのです。
そういった特性を持つソフトウェアの開発にこそモデリングを導入することで、ソフトウェアを誰でも見やすく、分かりやすいものにすることができます。これにより、システム開発の関係者間のコミュニケーションが良くなり、誤解が生じにくくなります。
続いて言葉と文化の壁が立ちはだかる海外とのやりとりにおいて、モデリング活用の効果について考えてみましょう。