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スケジュールとコストに関する指標が一目瞭然にわかるEVM
第3回:データの推移からつかめる傾向とベースラインの作成・出来高計上基準
著者:
プライド 三好 克典
2006/4/3
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様子を見たあとの状況
14日までの状況を詳しく調べた結果、そのままもう少し様子を見ることにしたが、果たして、その後の状況はどうなったのであろうか。
図4:28日時点での出来高と実績コストの推移
図4から、少なくとも予定より進捗が進んでいることは明らかである。では、コスト的にはどうであろうか。図5を見てみよう。
図5:指標値(SPI/VAC)と予測値(CPI)の推移2
図5から、指標値/予測値ともに予定に対して問題ない状態に推移したことがわかる。では、続けて図6のブルズ・アイ・チャートも見てみよう。
図6:ブルズ・アイ・チャート2
図6では、数値が右上のマスに移ってきている。このままの状態が継続すればスケジュール/コストともに予定内で完了するということが一目瞭然である。ここでは改善傾向にあることがわかり、数値が右上に推移してきているため安心感がある。
原因調査が必要な場合
さて、別例として図7のチャートを見て、読者の皆様はどう思うだろうか。
図7:ブルズ・アイ・チャート3
前回取りあげたように、指標値としては(SPI/CPIともに1.0以上)問題ないのだが、注意すべきチャートの一例である。推移による傾向から、少なくとも原因調査は必要であることがわかる。
確かに右上のマス内ではあるのだが、明らかに左下に向かっている。このまま放置したら左下のマスに推移するかもしれない。これが一過性の要因によるものなのか、今後しばらく続く要因なのかによって対処は変わってくる。
傾向分析のまとめ
ここまで、導出データの推移からつかめる傾向として例を見ながら解説をしてきた。今までの解説で「EVMはアラームや完了予測を示してくれるツール以上のものではない」ということが理解していただけたと思う。
もちろんアラームや完了予測が見えるのは、特に経験の浅いプロジェクトマネージャーにとっては、非常に助かることに違いない。ただ間違えないでいただきたいのは、EVMのグラフを作成することがプロジェクトマネージャーの仕事なのではなく、プロジェクトを成功させるために、「指標値に至った原因を分析し、対処方法を検討して実施する」のが本来の仕事であるということである。
このことについては、EVMだろうが他の進捗管理ツールを使おうと変わるところではないが、EVMでは一般的によく用いられる出来高の指標(SPIに相当)に加え、コスト進捗をあらわす指標(CPI)が提供されることが特徴であることを覚えておいてほしい。
アラームが示されたら徹底的に原因を調べよう。
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著者プロフィール
株式会社プライド 三好 克典
前職にてプロジェクト管理や標準化が非常に重要であると考え、技術習得及び実践の場を求めてプライドに入社。現在、システム開発方法論「プライド」を軸に、プロジェクト管理、標準化、情報資源管理の支援に携わっている。
INDEX
第3回:データの推移からつかめる傾向とベースラインの作成・出来高計上基準
はじめに
指標値と予測値の推移
様子を見たあとの状況
ベースラインの作成