サーバー統合でシステム資源の効率を高める

2010年7月1日(木)
上野 仁

増えすぎたサーバーに困っていませんか

業務の追加に伴って増えていくサーバー群。皆さんの職場でも多数のPCサーバーが稼働しているのではないでしょうか。数十年前、コンピュータがとても高価だったころは、業務処理にはコンピュータ・ルームに鎮座していたメインフレームやオフィス・コンピュータを使用するしかなく、業務処理システムは必然的に少数のコンピュータに統合されていました。

この時代は、「その時その時のコンピュータの性能に、業務処理を追加するだけの余裕があるのか」、「将来的な負荷の増加予測と照らし合わせて、次期リプレースまでコンピュータの性能が保てるのか」、など、「システム性能を予測して、可能であれば業務を追加する」という深い配慮が必要でした。したがって、必要な業務が何でもコンピュータ化されるという時代ではなく、その意味でも、情報システムは少数のコンピュータに統合されていたわけです。

時代は変わって平成の世の中。今や、業務処理システムの追加は、サーバー自体の追加を伴うものと相場が決まっています。PCサーバーの性能は、何十年も前のメインフレームの性能に匹敵します。しかも、その計算パワーは、とても安価に入手可能です。この結果、多様な業務がコンピュータ化されました。コンピュータ化すれば少しでも効率が上がりそうな業務は何でもシステム化され、業務効率はどんどん向上しました。

しかし、その結果起こったことが、無秩序にサーバー台数が増加してしまう"サーバー・スプローリング(server sprawling)"という状態です。複雑なネットワーク接続、どのサーバーにどの分電盤から供給されているのか分からない電源系統、誰が責任者なのか分からなくなったサーバーや、そもそもユーザーが存在するのかどうか分からないサーバー、どうも半年に一度だけ少し処理が走るようだというサーバーなど、いろいろなサーバーが「転がっている」状態です。

皆さんの職場やサーバー・ルームに無造作に置かれたサーバー群は、このような経緯で増え過ぎた結果なのです。このような状況になると、情報システムの管理コストが増大するので、「どげんかせんといかん」ということになるのです。

サーバー・スプローリング解決の第一歩

業務処理システムの追加ごと個別にバラバラに導入したサーバー群の問題点。どうしたら解決できるのでしょうか。まず第一歩は、物理的なサーバー統合をするということでしょう。

タワー型、デスクトップ型、ラック・マウント型、いろいろなサーバーが混じっていると、スペース効率が悪く、ネットワークや電源の配線も乱雑になります。これを解決するのが、ブレード型のサーバーです。

1台のシャーシに多数のサーバー・ブレードを搭載可能で、シャーシに対してだけネットワークや電源の配線をすれば良いという特徴があります。サーバー・ブレードを追加しても配線が増加しないで済むほか、形状が統一されているので、スペース効率も良いというわけです。

図1: ブレード・サーバーの導入により管理性や省スペース性が高まる(クリックで拡大)

「BladeSymphony」は、このようなニーズに対応するために日立製作所が開発したブレード・サーバーです。ハイエンド・モデル「BS2000」では高さ10Uのシャーシに最大8台、小型高集積モデル「BS320」では高さ6Uのシャーシに最大10台のサーバー・ブレードを搭載可能です。

1Uというのは、幅が約19インチのEIA(Electronic Industries Alliance: 米国電子工業会)規格のラックを使用する場合に高さを示す単位で、1.75インチ(約4.45cm)の高さのことを意味します。10Uは約44.5cm、6Uは約26.7cmということです。タワー型やデスクトップ型のサーバーに比べて、ずいぶん小さくなりますね。

ブレード・サーバーの導入によって、サーバー・スプローリングを解決する第一歩を踏み出すことができ、管理はだいぶ楽になります。しかし、これで終わりではありません。次に考えるべきことは、投資効率です。

日立製作所 エンタープライズサーバ事業部

(株)日立製作所エンタープライズサーバ事業部に所属。入社以来メインフレーム用OS、ファームウエアなどの研究開発を担当。現在はメインフレーム開発で培った仮想化技術をIAサーバに適用するとともに、利用システム拡大のために奮闘中。下手の横好きのゴルフにも頑張っている。
 

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