SDNへの潮流とOpenFlowの歴史
1.3 Open Networking Summit
前述のとおり、SDNやOpenFlowがネットワーク業界の注目を集める中、2011年10月17日~19日にSDNをテーマにしたイベント「Open Networking Summit」が米国Stanford大学で開催されました。著者も参加してきましたので、その時の様子を少しだけ紹介したいと思います。
図2:米国Stanford大学で開催されたOpen Networking Summitの様子 |
SummitではGoogle、Facebook、Yahooなどのクラウドサービス提供者、Verizon、ドイツテレコムといった通信事業者、Cisco SystemsやJuniperといった機器ベンダーのエンジニアが登壇しました。講演内容は現状のネットワークに関する不満、SDNに対する期待、SDN技術に関する取り組み状況の紹介と幅広いものでした。
各社ともに現在取り組み中の内容であるためか、技術的な詳細に触れるというよりも、ユーザー企業としてSDNにどういう期待をしているかを説明したり、機器ベンダーとしてSDNにどう取り組んでいくかのビジョンを説明したりする内容が主体でした。少し抽象的な話が多かったのですが、その中でもSDNというコンセプトに注目が集まっていることを実感できました。
次のSummitが4月に行われることに決定しています。受け付けも開始されています。
(参考:Open Networking Summit)
1.4 OpenFlowの標準化団体
1.4.1 OpenFlow Switchコンソーシアム
OpenFlowプロトコルは2007年以降OpenFlow Switchコンソーシアムにて標準仕様の策定が進められてきました。
(参照:OpenFlowコンソーシアム)
このコンソーシアムはStanford大学のNick McKeown教授が提唱して設立された組織であり、主要参加メンバーはStanford大学、Cisco Systems、Hewlett-Packard、Juniper Networks、NECです。
コンソーシアムにおいてはOpenFlowに関する仕様の検討、試作機の開発、トライアルの実施等が積極的に進められてきました。コンソーシアムの活動の成果であるOpenFlowプロトコルのリファレンス実装についても、OpenFlowコンソーシアムのページから入手が可能です。
2011年3月までのOpenFlowの標準化はこのコンソーシアムの中で行われ、主要なバージョンとしてOpenFlow ver1.0.0、ver1.1.0 が仕様化されています。なお、それぞれの仕様書において規定されている内容については後ほど言及したいと思います。
1.4.2 Open Networking Foundation
2011年3月、 OpenFlowのプロモーションと標準化を目的としたOpen Networking Foundation(ONF)が設立されました。
(参考:Open Networking Foundation)
ONFはExective DirectorであるStanford 大学のDan Pitt教授をはじめ、ボードメンバーおよびメンバーと呼ばれる会員企業で構成されています。
図3:ONF(Open Network Foundation)のボードメンバーおよびメンバー |
OpenFlowのver1.2以降については、このONFの中で議論され仕様が策定されていくことになっています。まずボードメンバーが議題を提起し、それをメンバー企業間(ボードメンバー以外のメンバー企業を含む)で議論した上で仕様案を作成し、最終的にはボードメンバーが意思決定をして仕様策定という形で進められています。このようにONFにおいては他のメンバー企業と比べ、ボードメンバーの意向が尊重される体制になっています。
ボードメンバーはユーザー企業(キャリア・クラウドプロバイダ)や学術関係者を中心に構成されています。ユーザーのニーズに耳を傾け、作り手の論理でなく使い手の論理を標準化仕様に反映させるため、機器ベンダーはボードメンバーには含まれていません。
一方、メンバー企業としてはスイッチ機器ベンダー、キャリア、チップベンダー、仮想化ソフトウェアベンダー等多くの企業が含まれています。ネットワーク機器ベンダー大手のCisco SystemsやJuniper Networksもメンバー企業としてONFに参画しています。
NTTグループでは、ONF設立当初からNTTコミュニケーションズがグループの代表としてONFメンバーに参画しています。さらに、2011年12月からはボードメンバーの一員として活動しています。
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