TDDでリファクタリングを行う適切なタイミングとは?

2014年8月27日(水)
吉谷 愛

はじめに

前回はテスト駆動開発(以下TDD)について、「ボウリングスコア計算プログラム」をTDDで実践しながらご説明するとともに、「インクリメンタルな設計」及び「責任の設計(静的設計)」「仕事の正しさの設計(動的設計)」についても触れてまいりました。今回はリファクタリングを中心に、前回同様に初学者の「古谷」がTDDの達人である「高梨先輩」に教えを乞う形で進めてまいります。なお、この連載ではプログラミング言語RubyでTDDを実現しておりますが、必ずしもRuby経験者が対象ではありません。Ruby未経験者でもプログラミング経験者であれば、ある程度理解できるように考慮して進めてまいります。

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  1. [古谷] 古谷です。前回はありがとうございました! TDDだからテスト系のお話ばかりと思っていましたが、どちらかというと設計についての話題が中心でしたね。
  2. [高梨] 高梨です。こちらこそしっかり聞いてもらって嬉しいです。では、どんどん進めていきましょう!
  3. [古谷] あ、あの、すみません、その前にちょっとお聞きしたいのですが……
  4. [高梨] 何ですか?
  5. [古谷] あの後、私なりにTDDを勉強しようと色々調べていたら、「TDD is dead. Long live testing.」という記事を見つけたんです。「TDDは死んだ」のですか?
  6. [高梨] ああ、Ruby On Railsの産みの親であるDavid Heinemeier Hansson氏(以下、DHH)のコメントですね。まず、この件について、僕が意見を述べることはしたくありません。ただ、このDHHの記事の中に「The test-first part was a wonderful set of training wheels that taught me how to think about testing at a deeper level, but also some I quickly left behind.(「テストファースト」は自転車の補助輪のようなもので、テスティングをより深いレベルで考えるやりかたを教わる役には立ったが、私はすぐに補助輪を外してしまった)」という一文があります。前回も古谷さんにお話したと思いますが、僕は初学者こそTDDを学んでほしいし、学ぶべきだと思っています。ですから初学者が狂信的になることなく、補助輪であるTDDを学ぶことについては、DHHも否定的ではないのではないでしょうか。
  7. [古谷] 確かに今の私には補助輪が必要です。それなら、今の私がTDDを勉強することはプラスになりそうですね。ありがとうございます。それでは続きをお願いします。えーと、前回はどこまでやりましたっけ?
  8. [高梨] では、まずは前回行った設計を再度整理してみましょう。
ここまでで行った設計
  1. [古谷] そうそう! こんなことをやりました。
  2. [高梨] そして、Rubyで実装したコードを以下に示します。あ、そうだ、前回説明するのを忘れていましたが、テストメソッド名は日本語にしても大丈夫です。これで、何のテストをしているか、コードを一目見ただけですぐにわかりますよね。
テストメソッドは日本語にすると楽

(クリックで拡大)

  1. [古谷] はい、ちゃんと思い出しました。設計としてまとめたものを見ると、なんかすごいことをやった気分になっていましたが、コードにしたらたいしたことありませんね。scoreメソッドなんて、何の計算もせずにゼロをそのままリターンしているし……。
  2. [高梨] まあまあ、インクリメンタルにいきましょう。それでは、いよいよこれから、2つ目のテストパターンを追加します。
フロイデ株式会社 代表取締役

「最新のアーキテクチャを追及し続ける技術者集団」を目指す、フロイデ株式会社代表取締役社長。現在は、自身のCOBOLからRailsまでの非常に幅広い開発経験や、学生や未経験社員への技術指導経験を糧に、技術講師としてソフトウエアエンジニアの育成に注力している。2013年06月より、初心者向けの「はじめようRuby on Rails開発!」シリーズを考案。“技術者の立場にたった、技術者の心に火をつける”熱い講義をモットーとしている。

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