【楽々デブドックを書こう!】正直使う?ガイドライン
第3回:本音は本音だからこそ言えないものか
著者:シンクイット編集部
公開日:2008/02/25(月)
自社内でガイドラインを設けているか
続いての質問は、この発注者ビューガイドラインのようなガイドラインを自社内でも設けているか、というものだ。まずプロジェクトマネージャのA氏は「設けていると考えているが、ここまで詳細なものはない」と答えてくれた。
さらに「社内でガイドラインを設けておけば便利なように感じるが、実際の案件ごとに対応していけるかは疑問だ。個人的にはガイドラインを用意しておくことよりも、このガイドラインを作ることそのものが1つの事例としてスキルになっていると思う。その意味では、このプロジェクトに参画した方々は、ドキュメント作成についての大きな経験をしたといえるのではないだろうか」と語ってくれた。
プログラマB氏の所属する部署では、事情が異なるという。「ガイドラインは一応用意されている。しかし、さまざまなプロジェクトの共通部分のみに限定されている。しかし作られているガイドラインそのものが長期間更新されていないので、個人個人がカスタマイズしたドキュメントが作成されている状況だ。
もちろんそれらを再構成することで、ガイドラインとして機能させることは可能だと考えているが『統合するための時間的な余裕』そのものがなく、『あれば楽』だと皆が考えているのにも関わらず、それを作る作業そのものが『負担』となっている」
図2:ガイドラインを設けているか
なぜ「ガイドラインがある」といいにくいのか
自社内でガイドラインを設けるにあたって「ガイドラインがあるといいにくい状況がある」と、プロジェクトマネージャのA氏は語る。これは「ガイドライン=前例」ととらえ、これから手がけるプロジェクトに対して前例のまま進めてしまおうとする人の存在と、その危険があるというのだ。
「これは考えすぎかもしれないが、ガイドラインがあることによって、それを利用しようとするのではなく、そのガイドラインが『結果』になるようにプロジェクトの構成を決め、作業を進めてしまう可能性がある。
実際に現場では『どの資料を参考にすればいいですか』という声が聞こえるが、これでは個々のプロジェクトの目的を作業に反映するのが難しくなる」とA氏は言う。
まったく同じではないものの、プログラマB氏もガイドラインを利用した場合の懸念事項として、次のようなものをあげてくれた。
「『ガイドラインに沿って』というと『ありものをちょっと変えただけ』、もしくは『ほかのものと一緒なのか』という印象を持たれるように思う。また、個々のプロジェクトについての細かい部分はガイドライン化しにくく、結局プロジェクトに合わせたものを作るほかない。
結果として、ガイドラインそのものが機能しない。さらに『ありものを変えただけ』という印象を発注者に与えてしまうことはマイナスになるのではないだろうか。ある程度受注案件が決まっている企業、または部署であれば、ガイドラインとして上手く活用できると考えられる」 次のページ