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打ち上げ成功、超高速インターネット衛星(WINDS) 本連載では、新世代ネットワークのさまざまな技術を取り上げる。第4回の今回は「超高速インターネット衛星(WINDS)」を紹介しよう。 ご存知のように、インターネットを代表とするデジタル通信は、その通信量が年々増加している。衛星通信の分野においても、この通信量の増加に対応するため、高速・大容量化が求められている。 政府のIT戦略本部の「e-Japan重点計画」に基づいたギガビット級の衛星通信システムとして、超高速インターネット衛星「きずな(WINDS)」は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)と情報通信研究機構(NICT)により共同で開発され、2008年2月23日に種子島宇宙センターよりH-IIAロケットにて打ち上げられた。WINDSは、東経143度に静止化し、今後、関係機関による通信実験が行われる。 インターネットで高画質画像や動画を見ることのできる便利な社会になった。この便利な環境を「いつでも、どこでも、誰でも」使えるようにするためには、突然の災害時に(いつでも)対応できる丈夫な通信、および現在、通信が不便な地域に(どこでも)通じる快適な通信の実現が必要となる。その最初のステップが、超高速インターネット衛星(WINDS)である。 一般家庭でもCS受信機並みの小型アンテナを設置することにより、最大155Mbpsの受信および6Mbpsの送信を、また企業などにおいては直径5メートル級のアンテナを設置することにより最大1.2Gbpsの超高速双方向通信の達成を目的としている。さらに、国内インターネット網の超高速化にあわせた国際的なインターネットアクセスの超高速化、特に我が国と身近なアジア・太平洋地域の諸国との超高速通信の実現も目的としている。 「きずな(WINDS)」は、インターネット、教育、医療、災害対策、ITS(高度道路交通システム)などの各分野における衛星利用を推進する宇宙インフラ構想の中で、大容量データ通信分野の技術実証を担う衛星である。 超高速インターネット衛星(WINDS)で解決できる課題 インターネットに代表される情報通信技術の発展に伴って、情報の流通が活発になり、情報発信やその利用方法の開発が進められている。電子政府やネットショッピングのような便利なサービスも浸透しはじめている。しかし、通信路整備の地域格差からデジタルデバイドが問題とされている。 その解決としてブロードバンドデータ回線の普及が求められている。日本国内ばかりでなく、島しょ国の多いアジア太平洋では特に強く求められている。 日本国内や世界各地で起きる地震や洪水などの自然災害に対して、迅速な救助が求められている。災害の状況判断や救助の手配のため中央と災害地を結ぶ通信路が重要となり、衛星通信の柔軟性を生かした対応が求められている。 また、映像メディアのデジタル化が進行しており、大容量の素材や高精細度映像を伝送するための大容量・高速回線の開発が求められている。 WINDSでは衛星通信の広域性に加えて、高速大容量通信を可能とする衛星搭載交換機や高利得アンテナ、指向方向可変ビームアンテナなど先進的技術を取り入れている。WINDSによる各種高速化技術の実験・実証により、これら問題の解決が図られることが期待される。 次はいよいよ、超高速インターネット衛星(WINDS)の能力を紹介しよう。 |
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