スイッチの種類
スイッチと一口に言ってもさまざまな種類がある。「レイヤー2スイッチ」「レイヤー3スイッチ」「レイヤー4スイッチ」「レイヤー7スイッチ」などである。
これらのスイッチの前についているレイヤーという言葉は、OSI参照モデルに由来するものだ。それぞれのレイヤーによって、機能で区分されている。まずは、それぞれのスイッチについて解説する。
レイヤー2スイッチは、基本的に転送先のMACアドレスを参照して、適切なポートへ転送する機器で、スイッチングHUBともいう。さきほど述べたブリッジの機能をそのまま継承した基本的なスイッチである。
レイヤー3スイッチは、従来のスイッチにルーティング機能を追加したものだ。これはルータに近いものである。以前は、低速回線のインターフェースの有無がルータとの違いであったが、冒頭でも述べたように近年では高性能化してきており、その境界線はあいまいになりつつあるのが現状だ。
レイヤー3スイッチがIPの解析までに対して、レイヤー4スイッチではTCP/UDP情報を解析することができる。これによって、ネットワークの負荷分散や最適化を行うことができる。
最後にレイヤー7スイッチは、パケットのデータ領域を解析してデータの転送を行う機器である。ファイアウォールのロードバランシングなどに用いられている。
このように、スイッチにはさまざまな用途がある。従来のスイッチというイメージは、レイヤー2スイッチまでで、現在注目されているのはレイヤー3以上のものである。
OSI参照モデル
ここでネットワークについての解説の際によくでてくる「OSI参照モデル」について触れておこう。
OSI(Open Systems Interconnection)参照モデルとは、異なる機器の間におけるデータ通信を実現するために、国際標準化機構(ISO)が策定したネットワーク構造の設計方針のことである。ポイントは仕様ではなく方針であるという点だ。
当初、仕様として策定が進んでいたが、TCP/IPの基本仕様が先に広がり、OSIに準拠した製品はあまり普及しなかった。そのため、現在では、ネットワークの基礎としてその形をとどめている。
OSIでは通信機能を7つのレイヤーに分けている。それぞれ「レイヤー1:物理層」「レイヤー2:データリンク層」「レイヤー3:ネットワーク層」「レイヤー4:トランスポート層」「レイヤー5:セッション層」「レイヤー6:プレゼンテーション層」「レイヤー7:アプリケーション層」となる。本記事でスイッチの前についている言葉がそれぞれのレイヤーに対応している。
さて、次にHUBとの違いについてみていこう。 次のページ