 |
|
前のページ 1 2 3 4
|
 |
周波数だけでは決まらないRFIDタグの選定
|
これまで説明してきたように、RFIDシステムの導入を検討する際には、その本質的特徴の1つである無線技術の理解が重要なポイントとなるが、以下の点を忘れてはならない。
|
RFIDタグへの情報登録
|
RFIDタグは製造時にあらかじめ一意な識別番号(ユニークIDともいう)が登録されている。さらに製品によっては、ユーザメモリ領域を有し、ユニークID以外の情報を保持可能なものがある。
識別のためのトリガーとしてユニークIDを利用するか、更にユーザメモリに付加情報を事前登録するか、運用中で情報の書き込みと消し込み(消去)を行うかなどの検討が必要になる(表4)。なお、RFIDタグにデータの書き込みを行う場合には、一般的に読み込みより時間がかかる点にも注意が必要である。
種類 |
特徴 |
製品例 |
リードオンリー型 |
メーカ出荷時にユニークIDを登録。低コスト。 |
ミューチップ(日立)(但し、2005年以降はリード/ライト型のミューチップも提供している。) |
リードライト型 |
運用時に情報の書き込みが可能。 |
I-CODE(フィリップス) |
ライトワンスリードメニー型 |
情報の書き込みは1度だけ。 |
S-ラベル(日本インフォメーションシステム) |
表4:RFIDタグへの登録情報
出所:野村総合研究所
|
リーダ/ライタ
|
RFIDタグの読み取り、情報の書き込みにはリーダ/ライタを利用する。周波数ごとに対応した製品が提供されているほか、RFIDシステムの運用形態にあわせて、ハンディタイプ、パネルタイプ、ゲートタイプ、トンネルタイプなどのリーダ/ライタが提供されている(表5)。
種類 |
特徴 |
ハンディタイプ |
人がもって利用。低出力のため、通信距離が短くなる(数cm程度) |
パネルタイプ |
アンテナとリーダ/ライタが分離。複数のサイズのアンテナがある |
ゲートタイプ |
入退出ゲートなどで利用。 |
トンネルタイプ |
特定用途向けに利用。読取精度が要求されるような場合に利用 |
表5:リーダ/ライタの種類
出所:野村総合研究所
|
その他の特徴
|
物流検品や店舗や倉庫での棚卸では大量の商品を一気に、かつ短時間に読み取るようなRFIDの運用も求められる。この場合、RFIDタグがアンチコリジョン(輻輳制御)に対応したものであるかどうかがポイントとなる。
このようにRFIDは、周波数別の特徴のみならず、機能・性能面でも機器毎に特徴がある。従ってRFIDシステムの導入に際しては、業務要件に応じてRFIDタグに求める機能要求を洗い出し、対応製品を選定する視点が求められよう。
第1回では、RFIDタグの特徴に関して説明させて頂いた。第2回では、RFIDの適用先として大きな市場が期待される流通分野について、導入・検証事例とサプライチェーン向けシステムの概要を紹介する。
|
前のページ 1 2 3 4
|

|
|

|
著者プロフィール
株式会社野村総合研究所 藤吉 栄二
情報技術本部 技術調査室 副主任研究員
1995年大阪大学理学部物理学科卒業後、大手電機メーカー系ソフトハウスにて無線技術の研究開発に従事。2001年に野村総合研究所に入社。情報技術本部にてIT動向の調査を実施。専門は、RFID、ICカード、無線LANなどモバイル関連技術。
|
|
|
|