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情報化による業務システム改善
第2回:業務プロセスの改革方法とその効果
著者:
みずほ情報総研 片田 保
2006/5/22
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業務プロセスを変革する
では、BPRで実施すべき業務プロセスの変革とは、どのようなものなのだろうか。特に、ITを活用することで実行可能なポイントを整理してみよう。
BPRポイント
実施例(主な例を抜粋)
統合・廃止
様式ダウンロードによる用紙配布の廃止
データ一元化による実態調査の廃止
レアケース(極少量事務)の廃止
簡素化・削除
決定関与者の縮小
添付文書の縮小
DB自動照合による目視チェックの縮小
庶務担当への中間経由・集約事務の廃止
確実化・厳密化
記入項目の定型チェック(網羅性チェック)
未処理者への警告・アラーム
集約・集中
掲示板への情報掲載による一斉通知
物品管理の一元化
DB一元管理
分散化・自己責任化
発生源入力(個々人による入力)
月末処理から日次処理への変更
掲示板情報の能動的な確認
連携・同時処理
データ連携によるパンチ業務(データ入力業務)の廃止
リアルタイムなDB照合による予算消費率の確認
効率化・自動化
集配の廃止(電子データの自動進達)
各種書類の自動生成
入力支援(選択入力、自動入力)
汎用化・標準化・パターン化
汎用入力画面の利用
社員(職員)認証基盤の利用
電子決裁基盤の利用
表1:BPRのポイントと実施例
統合・廃止
これまでの手続や事務処理の多くは「紙」によるものがほとんどだった。これらが電子化されれば、処理そのものを廃止できる。
例えば、庶務担当者が勤務管理簿などの書類を個々の社員(職員)に配布している作業では、電子化された様式が共用データベースに登録されていれば、各々がダウンロードして使えるため、わざわざ配布しなくて済ませられる。休暇予定などもデータベースに一元管理できるので、いちいち実態を調べたり個別に調整したりしなくてもよい。
他にも、以下であげる「簡素化・削除」「連携・同時処理」「効率化・自動化」によっても似たような効果が得られる。
簡素化・削除
情報システムの導入にあわせて決定関与者を見直せば、決裁のスピードを向上させることができる。しかし現実の話としてありがちなのは、決裁文書にハンコがズラリと並ぶというものだ。
このハンコの行列をそのままにして情報システムを構築してしまったのでは、迅速な意思決定は実現されない。情報システムをもちいると決裁に関与する人を簡単に決裁リストに追加できるようになるため、決裁者の手元には以前よりも不必要な文書が増えてしまい、結果として意思決定スピードがダウンしたというケースもある。
また、これまでの庶務のような取りまとめ事務の際には、所管部署に回す前に記入事項を目視でチェックしたり、集約・再配布作業を行ったりしていたが、データベースを共有することによって、こうした作業自体を行わなくてもよくなる。
確実化・厳密化
インターネット上で、サービス利用の申し込みなどをするときに記入漏れが生じても、該当箇所を指摘・警告するといった定型的なチェックが自動的に行われる。紙の書類ように、提出した後でミスがわかって正確に記入できるまで、書類の手戻りが生じるようなことはない。記入漏れのチェックも、目視ではなく自動処理で対応できるため、確認する側の負担も大幅に軽減される。
また、指定された期日までに書類の提出や処理が終了していない場合、提出や処理を促すアラームを該当者に通知することで、予定にあわせた対応ができるようになる。会議や打ち合わせの予定も自身のスケジュールに登録しさえすれば、期日・時間が近づいた段階で電子メールなどによる確認案内を受け取れるので、うっかりミスも減らせるだろう。
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著者プロフィール
みずほ情報総研株式会社 情報・コミュニケーション部
公共経営室長 片田 保
1991年、早稲田大学教育学部卒業、富士総合研究所(現みずほ情報総研)入社、2004年から現職。専門は、ITを活用した行政経営、地域経営。行政の経営改革に関するコンサルティング、自治体の政策アドバイザーなどの業務に携わる。世田谷区行政評価専門委員を務めるほか、大学・大学院非常勤講師、自治体セミナー講師、論文執筆多数。
INDEX
第2回:業務プロセスの改革方法とその効果
何をどこまで改革するか?
業務プロセスを変革する
集約・集中