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情報化による業務システム改善
情報化による業務システム改善

第2回:業務プロセスの改革方法とその効果
著者:みずほ情報総研   片田 保   2006/5/22
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集約・集中

   支店や営業所を複数抱えるような会社では、物品の購入を各々の店で行うため、コピー用紙やボールペンなどの購入価格にばらつきが生じることがある。全国規模になると、ある営業所では1本100円で仕入れているボールペンも、別のところでは85円で買っているというような事態が発生している。

   しかし一元的に物品管理を行ってまとめて購買すれば、価格を一律に抑えられ、ボリューム・ディスカウントも可能になり、コスト削減効果も大きくなる。

   また、全員に通知するような情報や案内は、電子掲示板に掲載することで一斉通知が可能になる。通知内容を確認したかどうかも自動で把握することができるため、周知徹底のチェックも容易になるだろう。

   さらに、情報システムそのものの管理においても同様のことがいえる。例えば、ソフトウェアのバージョンやライセンス管理、セキュリティソフトの定義ファイルの更新なども集中して一括で行えるため、個別部署を回って対応するなどの作業負荷を大幅に軽減できる。


分散化・自己責任化

   勤務管理や休暇申請などを庶務担当が代行しているようなケースもあるが、情報システムをもちいる場合には、「原則として個々人による入力」つまりは「処理が生じる現場での入力(発生源入力)」により、中間的な作業者を置かなくてもよくなる。

   ただし、勤務状況の報告などは、個々人が正しく入力したかどうか、報告したかどうかは自己責任で行われることになる点に留意が必要である。「集約・集中」で説明したように掲示板情報を見たか見ていないかをチェックすることはできるが、原則として自己責任で管理しなければならない。

   また、これまで月次処理を行っていた勤務管理は月末に集中するため、極所的に大きな負荷がかかっていたが、日次処理にすることで、処理頻度のピークコントロールが可能になる。


連携・同時処理

   各社員(職員)が個別に入力した勤務状況データは、人事的な労務管理に使われるだけでなく、情報ネットワークでデータ連携することによって、給与や人事評価などにも広く活用できるようになる。もともと発生源入力されているデータなので、パンチ業務が不要になり、しかもリアルタイムで確認できるため迅速な処理が可能になる。


効率化・自動化

   これまであげてきたネットワーク化によるデータ連携や電子メールなどの活用によって、データを自動進達できるようになるため、従来は紙での集配を余儀なくされていた作業そのものの廃止や効率化が可能になる。

   また、各種書類の申請・起案についても、必要事項を何度も記入させることなく自動で生成したり、選択入力によって支援したりすることで、処理負荷の軽減につなげられる。


汎用化・標準化・パターン化

   何度も繰り返すようだが、情報システムを導入する際には汎用化・標準化・パターン化が重要になる。部署ごとで庶務の業務プロセスが異なっているような事態は、情報システムの開発・維持管理コストが膨れあがる一因となってしまう。使う側にとっても、人事異動のたびにその部署でのやり方にあわせなければならず、処理効率が低下しかねない。

   また、複数の情報システムへのアクセス管理を個々に行ったのでは、IDやパスワードを個別に覚えておく必要があるため負荷も大きくなる。汎用的な入力画面を使ったり、社員(職員)認証基盤を利用したりすれば、1つのポータル(入口)での管理で済んでしまうため、利用者の負荷も軽減される。


BPRの阻害要因

   以上のようにうまく使えば大きな効果が得られるBPRではあるが、冒頭でも触れたように、阻害要因もあって一筋縄には進めにくい。最初にぶつかる壁は、従来からの仕事の進め方への固執である。

   この点は業務プロセスそのものに関わる課題であり、かつ個々人の意識改革が不可避であるが、具体的に見える形で効果を示したり、BPRの導入段階でキーとなる人々を巻き込んだり、導入・実践方法での工夫によって克服できるであろう。

   しかし「業務プロセス」を越えて、BPRをより深く実践しようとする場合(図1)には、「組織・機構」「諸規定・制度」に関わる阻害要因が立ちはだかる(表2)。

  • 業務プロセスにおける各種処理での権限や責任の所在が曖昧、もしくは不適切である
  • 業務や組織が細分化されていて、横断的に見直しにくい
  • 個別部署での独自処理が目立ち、業務プロセスの標準化が遅れている
  • 管理階層、決定関与者が多い

表2:BPRの阻害要因

   次回は、BPRを成功させるために、表2にあげたような阻害要因の克服策などについて検討する。

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みずほ情報総研 片田 保
著者プロフィール
みずほ情報総研株式会社  情報・コミュニケーション部
公共経営室長   片田 保

1991年、早稲田大学教育学部卒業、富士総合研究所(現みずほ情報総研)入社、2004年から現職。専門は、ITを活用した行政経営、地域経営。行政の経営改革に関するコンサルティング、自治体の政策アドバイザーなどの業務に携わる。世田谷区行政評価専門委員を務めるほか、大学・大学院非常勤講師、自治体セミナー講師、論文執筆多数。

INDEX
第2回:業務プロセスの改革方法とその効果
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