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情報化による業務システム改善
情報化による業務システム改善

第8回:BPR実現後のイメージ
著者:みずほ情報総研   片田 保   2006/8/31
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事業継続性(Business Continuity)

   2001年に起こった米国同時多発テロを受けて、企業における事業継続性(Business Continuity)をいかに確保するかが注目されている。自社内で業務を遂行する場合に留まらず、社外にアウトソーシングしている場合も同様に、万が一のときにも業務を中断することなく、短期間で復旧できる体制や環境を整備する必要がある。

   現場によって異なる複雑かつ不透明な業務プロセスでは、担当者に依存しがちで、いざというときに機能しないことが多い。いちはやく復旧するためには、必ずしもすべてにおいて単純化・汎用化することはないが、わかりやすく誰もが容易に遂行できる業務プロセスが望まれる。BPRの実施にあたっては、このような業務継続性の観点も取り入れる必要がある。

M&A(経営統合)

   最近、新聞やテレビのニュースを賑わしている企業のM&Aだが、異なる会社が合併したり経営統合したりすると、例え同業種であっても既存の業務プロセスを抜本的に見直す必要がある。

   近年では、大規模なシステム統合を実施しなければならず、早期のシステム立ち上げが注目を集めやすい。手段たるシステムが統合後もうまく機能するかどうか、企業経営においてもシステム統合の成否は新たな企業運営に影響を与えかねない。

   時期を急いで現行の業務プロセスを変更せずにシステム統合に踏み切る事例もあるようだが、統合後のシステム導入効果を高めるためには、やはりBPRを本格的に実施すべきだろう。


BPRを業務プロセスにビルトインする

   本連載ではBPRを主題に進めてきたが、今回のようにBPRを紹介すると、その実施の困難さばかりが目に付いてしまうことが気になる。BPRの実践は、次が重要になってくる。

  • チャレンジすること
  • 形骸化しないこと
  • 継続すること

表1:BPRを実践する上で重要になるポイント

   そのためには、BPRを仕組みとして「ビルトイン(組み込む)」してしまうことだ。最近では、BPM(Business Process Management)が取り上げられるようになってきたが、これはビジネス・プロセスの中にBPRの仕組みを取り入れるという発想である。BPMでは、業務を分析し、設計・実行する。さらにモニタリングをして改善・再構築というマネジメント・サイクルを形成することでBPRの実践も容易になるだろう。

   M.HammerとJ.Champyの両氏が「リエンジニアリング革命」の中でBPRを提言してから13年が経つ。抜本的な経営改革が求められる閉塞した時代だからこそ、今改めてBPRに注目してきた。本連載を通じて、BPRの重要さを実感していただければ幸いである。

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みずほ情報総研 片田 保
著者プロフィール
みずほ情報総研株式会社  情報・コミュニケーション部
公共経営室長   片田 保

1991年、早稲田大学教育学部卒業、富士総合研究所(現みずほ情報総研)入社、2004年から現職。専門は、ITを活用した行政経営、地域経営。行政の経営改革に関するコンサルティング、自治体の政策アドバイザーなどの業務に携わる。世田谷区行政評価専門委員を務めるほか、大学・大学院非常勤講師、自治体セミナー講師、論文執筆多数。

INDEX
第8回:BPR実現後のイメージ
  はじめに
  手段としてのIT活用
事業継続性(Business Continuity)