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情報化による業務システム改善
情報化による業務システム改善

第8回:BPR実現後のイメージ
著者:みずほ情報総研   片田 保   2006/8/31
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はじめに

   「第1回:再燃するBPR(業務プロセス改革)」でも紹介したようにBPRとは、スピード、品質などのパフォーマンスを向上させるために、ビジネス・プロセスを根本的に考え直して抜本的に再設計することである。

   しかし日常の業務において、大きな変革を考えることは難しい。「第6回:BPR実践の秘訣(前編)」「第7回:BPR実践の秘訣(後編)」では、BPR実践の秘訣として10箇条を紹介したが、どのような理由/場面でBPRを実践すればよいのだろうか。BPRは現状の業務や組織・機構を見直すために不可欠だが、その効果ははかりづらい。そこでBPR実施後のイメージを紹介しながら、BPRの実施について考えてみたい。

業務プロセス変革(BPR)後のイメージ

   財務的に経営状況が逼迫しているときや、既存の業務が閉塞して新商品開発などが滞っているときにBPRの注目度が高まる。特に不況の煽りを受けると、いかに不要なコストを圧縮できるかが喫緊の課題となる。行き過ぎると米国のBPRのように人的資源を疲弊させかねないが、BPRに着手する一番の目的は経営再建であろう。

   例えば「第4回:BPRの効果をコストで示すABC手法」のABCで紹介したように、BPRによって、「庶務・総務事務」に関する業務を集中化し、従来の経営を見直したうえでさらに事務処理センターとしてアウトソーシングする事例がある(図1)。

庶務・総務センターの実現イメージ(例)
図1:庶務・総務センターの実現イメージ(例)
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

   ここでは、間接事務である庶務・総務事務を社内で集中化し、社員向けのコールセンターや手続きを電子的に処理する社員ポータルサイトを活用して運営している。具体的には、庶務事務、福利厚生、施設・設備管理(営繕)などの業務が対象となる。

   実施にあたっては、従来のように社員による直営ではなく、一部の事務作業を社外の派遣社員で賄ったり、業務そのものを外部に委託したり、運営に必要な組織・機構へと変革することができる。

   また、アウトソーシングによって本店、支店、事業所でサービスを共有するだけでなく、グループ会社間で事務処理センターを共同で設営するシェアードサービスのような取り組みも可能である。

BPR後の実現イメージ
図2:BPR後の実現イメージ

   こうしたアウトソーシングの取り組みは業務の一部委託だけでなく、業務そのものを全面的に外部化するケースではBPO(Business Process Outsourcing)と呼ばれる。後述するように、ITの管理・運用をアウトソーシングするだけでなく、実際の業務もあわせてアウトソーシングする。例えば、コールセンターの受付処理業務や人事・給与計算の業務代行などがある。

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みずほ情報総研 片田 保
著者プロフィール
みずほ情報総研株式会社  情報・コミュニケーション部
公共経営室長   片田 保

1991年、早稲田大学教育学部卒業、富士総合研究所(現みずほ情報総研)入社、2004年から現職。専門は、ITを活用した行政経営、地域経営。行政の経営改革に関するコンサルティング、自治体の政策アドバイザーなどの業務に携わる。世田谷区行政評価専門委員を務めるほか、大学・大学院非常勤講師、自治体セミナー講師、論文執筆多数。

INDEX
第8回:BPR実現後のイメージ
はじめに
  手段としてのIT活用
  事業継続性(Business Continuity)