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オープンソースで構築する業務システム特集

第7回:ユーザビリティとカスタマイズ機能に秀でた「Compiere」の特長
著者:アルマス  ジリムト   2006/7/13
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帳票印刷の構成

   取引ドキュメントタイプに対して、帳票フォーマットを設定することができます。帳票のフォーマットはCompiereの標準機能でユーザが設計することができ、すでに利用しているフォーマットをカスタマイズすることも可能です。

整合性チェックに対応したデータインポート

   データをインポートする際には整合性のチェックが必要になるため、取り引きデータの中心テーブルは専用のインポート機能を備えています。また、インポートするファイルの形式を自分で定義することもできます。

   またインポートと同様に、様々なファイル形式でエクスポートすることもできます。ここで使用されるインポート機能は、次の項目をインポートすることが可能です。

  • ビジネスパートナー
  • 製品
  • 受発注オーダー
  • 請求書
  • 棚卸
  • 在庫移動
  • 入出荷確認
  • 仕訳
  • 勘定科目
  • 会計諸帳票設定
  • 銀行報告書
  • 支払い

表1:インポート可能な項目


柔軟なカスタマイズ性

   基幹業務システムを使用する中で、ERPに対してカスタマイズを行いたいという要求はどうしてもでてくることでしょう。Compiereは柔軟なデータモデルからカスタマイズ要求に対して素早く簡単に対応できるので、そのシステム構造の素晴らしさを感じることができると思います。


コードの記述なしでのカスタマイズ稼動が可能

   既述のようにウィンドウ表示/出力一覧/印刷帳票のカスタマイズなどがコードの記述なしで可能ですが、それだけではなく、次のようなカスタマイズもコードの記述なしでできます。

  • テーブルに項目を追加して、その項目を画面上に表示/出力/印刷する
  • データベースビューを作成して、そのビューを元に照会画面作成した上でデータ出力をする
  • 新規データテーブルが必要な場合、データベースにテーブルを作成した後にそのテーブルの定義をCompiereの中に読み込んで、新しいウィンドウとタブを作ってデータ登録/データメンテナンス/データ出力/帳票印刷をする

表2:コードの記述なしでできるカスタマイズ事項

   このように、エンドユーザ側でもコードを記述せずにシステムの機能を拡張できるという点がCompiereの最もよい特長ではないでしょうか。


オープンソースとして提供されている美しいソースコード

   CompiereのソースコードはオープンソースとしてSourceForgeからダウンロードでき、自分でコンパイルして、リビルドすることができます。

   筆者は半年以上のソースを解読してCompiereの拡張開発をしてきているうちに、ソースコードが読みやすい点に感心しました。Compiereのソースコードの美しさ/関連性を見て、開発者であるJorgJanke氏の10年間の苦労を忍ぶことができます。

   Compiereのソースを読みながらソフトウェアエンジニアリングの本を読み、「概念とシステムが一致することでシステムは成功する」と思いました。商用大手ERPにも負けないくらいの機能性/適用性/拡張性を持つCompiereは設計概念をシステムに落とし込むことを重視して作ってきたのではないかと思います。


多様なツールの整備

   Compiereの機能はエンドユーザでもカスタマイズしての導入/運用ができるように設計されているだけではなく、実際のシステムメンテナンスのためにも次のような様々なツールを提供しています。

  • Windows/Linux/UNIX用の起動停止スクリプト
  • データベースインポート・エクスポートスクリプト
  • データベースバックアップ/リストアスクリプト/バックアップファイル転送スクリプト
  • データベースマイグレーションツール(サポート契約購入の必要有り)
  • データベースクライアントクリアツール
  • データベースクライアントコピーツール

表3:コシステムメンテナンスのために提供されているツール


次回は

   前回と今回の2回にわたって、CRMと統合した中小企業向けオープンソースERPであるCompiereの概要と特長について解説しました。次回は筆者の経験に基づいた商用ERPとCompiereについての比較と事例紹介、そして今後の展望について考察する予定です。

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コンペアージャパン
http://www.compiere-japan.com/
大手企業ERP導入サポートした経験を活かして、日本の中小企業のために、オープンソースERPシステムCompiereの日本語版パッケージの提供から導入コンサルティング、カスタマイズ開発および運営サポートを提供している。
運営会社
株式会社アルマス
http://www.almas.co.jp/
株式会社フォーワンファースト
http://www.411.co.jp

株式会社アルマス ジリムト(吉日木図)
著者プロフィール
株式会社アルマス  ジリムト(吉日木図)
株式会社アルマス代表取締役社長
内モンゴル大学電子学部修士卒業。18年のシステム開発経験を持ち、日本では大手外資系会社のERPシステム導入運営サポートを3年間経験したほか、主にはOSSベースのシステム開発を担当し、Struts,Torque,DisplayTag,Quartz,JasperReport,iText,jChart, HttpClientなどOSSを使った自社開発プラットフォームjWare(Java Web Application Rich Engine)をベースに多数のプロジェクト完成。中小企業向けオープンソースERP&CRMであるCompiereの日本語化プロジェクトをリードしている。


INDEX
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