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セマンティックWebによる情報統合 〜Web 2.0と情報活用を支えるメタデータ
第2回:Web 2.0世界におけるセマンティックWeb
著者:
野村総合研究所 田中 達雄
2006/8/16
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タギング/フォークソノミーの問題点
タギングやフォークソノミーについては、多くの議論がblog上でなされているため、深入りはしないが、「所詮タグは個々の人間が恣意的に付けたもの」であることがタギングの問題となっている。かといって統制することが良いとも限らない。
個々の人間が恣意的に付けるタグを許容することで、1つの情報リソースに様々なタグが付けられて様々な角度から検索可能になるし、Broad Folksonomy(注1)でいう統計的な考えに基づいて多くの人が付けたタグの文字を大きくしたり上位に表示したりすれば、タグが恣意的であることの問題も低減することができよう。それよりも、大量なデータの中に埋もれがちな情報リソースに意味(タグ)を付けることで、検索性を高めることの意義の方がはるかに大きい。
注1:
Folksonomyには、Broad FolksonomyとNarrow Folksonomyがある。Broad Folksonomyは多くの人が関わる広いフォークソノミーであり、情報リソースに付与されるタグも多くの人が共通に理解できるものが主体となる。逆に自分もしくは少数の人が理解できるタグによる分類は、Narrow Folksonomy(狭いフォークソノミー)と呼ぶ。
本連載は「情報インテグレーション」を主題としているので、自分だけが理解できて他人にとっては意味不明なタグ付けは議論から外し、他人と共有できるタグ付け(ソーシャルタギング)について話を進める。
ソーシャルタギングにおいても「スペルミス」「語彙のゆらぎ」「感性のばらつき」といった問題が付きまとう。これらの問題は人間がタグを恣意的に付け続ける限り、常に起こり得る問題である。
「スペルミス」は、スペルチェック機能やオートコンプリート機能で低減することができるだろうが、「語彙のゆらぎ」や「感性のばらつき」の統制は困難である。では、いつまでもこれらの問題は解決できないのだろうか。
筆者は、将来「セマンティックWeb」がこれらの問題を解決すると見ている。特に「語彙のゆらぎ」には有効である。
情報リソースにどういったタグを付与するかは、メタデータレベルの話であり、付与されたタグの意味や関係(語彙のゆらぎ、感性のはらつき)に関してはオントロジーが解決するだろう。
オントロジーがあれば、あえて「語彙のゆらぎ」を統制せずに様々な語彙の使用を許容することができ、後で語彙と語彙の意味的な関係はオントロジーに補正させればよい。「感性のばらつき」についても、ある情報リソースに対する人間の感性を統制することは不可能なため、様々な感性を許容する必要があり、付与された様々な感性をあらわすタグを意味的に分類するとき、セマンティックWebは有効に働くだろう。
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著者プロフィール
株式会社野村総合研究所 田中 達雄
1989年4月に富士通株式会社に入社。ソフトウェア工学を専門分野とし「UMLによるオブジェクト指向開発実践ガイド(技術評論社出版)」を共著。2001年2月に野村総合研究所に入社。現在、情報技術本部にてIT動向の調査と分析を行うITアナリスト集団に所属。Webサービス/BPMなどの統合技術、エンタープライズ・アーキテクチャなどが専門。
INDEX
第2回:Web 2.0世界におけるセマンティックWeb
はじめに
タギング/フォークソノミーの問題点
マイクロフォーマット