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企業情報ポータルによるアプリケーション統合

第2回:企業情報ポータルを構成する機能
著者:みずほ情報総研  平古場 浩之   2006/7/10
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ポートレット間連携

   ポータルではバックエンドにあるシステムとポートレットとの間だけでなく、ポートレット同士でもデータフォーマットを定義して相互に連携することが可能である。これをポートレット間連携と呼ぶ。

   この機能を活用すれば、ポータルがEAIと同じように複数のシステムの中継地点となり、アプリケーション統合を実現することが可能になる。それでは具体的な連携例を以下にあげる。

   ある営業担当者のポータル画面には4つのポートレットが配置されている。ポートレットにはそれぞれ「会議室予約システム」「外部の企業情報検索サービス」「顧客管理システム」「スケジュール管理システム」が割り当てられている。

   まず利用者がスケジュールのポートレットに、「日時=2006年7月3日 10:00〜11:00」「予定=会議」「企業名=A商事・B部長」と入力する。すると他の3つのポートレットがこの入力データに反応して、それぞれ「7月3日の10時から空いている会議室の一覧」「A商事の会社情報の検索結果」「A商事との過去案件履歴一覧、B氏との過去のコンタクト履歴」が表示される(図2)。
ポートレット間連携機能によるアプリケーション統合の実現イメージ 出所:みずほ情報総研
図2:ポートレット間連携機能によるアプリケーション統合の実現イメージ
出所:みずほ情報総研
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

   従来こうした処理を実現するためには、システム間でデータやアプリケーションレベルでの密な統合を行うなどの手段を考えるしかなかったが、ポートレット間連携であればよりユーザインターフェースに近いレベルで容易に実装ができる。大量のデータ処理や安定性の面ではEAIツールにはおよばないが、利用者の操作を省力化する程度の連携であれば、この機能でも十分対応可能である。


パーソナライゼーション

   パーソナライゼーションは利用者の好みにあったポートレットを選択したり、表示する情報内容を加工・カスタマイズしたりして利用することだ。これは1つの画面上に表示したい情報の種類や内容は利用者ごとに異なるためである。

   パーソナライゼーションとしては、AmazonやMy Yahoo!などのインターネット上のWebサイトが有名だ。利用者がレイアウトや表示するポートレットを自由にカスタマイズでき、情報内容が購買動向や嗜好に応じて自動的に最適化される。

   企業内では、インターネットと違ってポートレットの取捨選択を利用者自身に委ねることが必ずしもよい結果をもたらすとは限らない。なぜならポータルの設定作業に余計な手間がかかってしまい、かえって業務効率化の妨げになることもあるからだ。

   通常、利用者は組織や職位に属しているので、これらの役割によって利用する業務システムや情報の見せ方を分類する、グループ単位でのパーソナライゼーションが有効である。例えば「顧客情報や案件管理を行う営業部門」と「技術動向調査や研究成果の検索を行う技術部門」では、日々の業務遂行に必要な情報や使うシステムは異なるだろうし、営業担当者でも担当する地域や役職によって参照したい情報内容も変わってくる。

   ポータルにおけるパーソナライゼーションとは、こうした組織や職位などの役割(ロール)ごとに、必要なポートレットを紐付けてポータル画面に配置しておくことである。いくつかのポートレットに対して表示したい情報内容の変更の権限を与えておくことで、さらに効果を発揮する。

ロールベースのパーソナライゼーション 出所:みずほ情報総研
図3:ロールベースのパーソナライゼーション
出所:みずほ情報総研
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

   ポートレットだけではなく情報内容にもそれぞれロール情報と紐付けておけば、これまで情報の発信者から画一的に配信されていた情報も、パーソナライゼーションによって効率的な情報配信が可能になる。

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みずほ情報総研株式会社 平古場 浩之氏
著者プロフィール
みずほ情報総研株式会社   平古場 浩之
システムコンサルティング部コンサルタント
システム開発部門でのSE経験の後、社内システム企画部門、EIP事業企画を経て2003年から現職。現在はナレッジマネジメント、情報共有に関連するコンサルティング業務のほか、EIPやECM(企業コンテンツ管理)、SNS(ソーシャルネットワーク)などのICTツール動向の調査などを担当している。


INDEX
第2回:企業情報ポータルを構成する機能
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  その他の機能
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