第10回:ブレードサーバのLAMP性能特性とサイジング(前編) (3/4)

VMware ESX Server サーバ統合ガイド
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第10回:ブレードサーバのLAMP性能特性とサイジング(前編)

著者:デル   2006/8/31
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MySQLとPHPのインストール

   MySQL 5.0は、MySQLのWebサイトに事前構築済みのバイナリRPMが提供されているため、これをインストールしました。これらのRPMは、デルとMySQLが最適化したもので、業務環境にお勧めできるパッケージです。PHPは、PHPのWebサイトから入手したソース・コードをコンパイルしました。Webアプリケーション・レイヤの提供にはApache Webサーバを使用しました。

   Apache Webサーバは、RHEL3 U4製品にデフォルトで添付されます。インストールの詳細は、後ほど解説する「LAMPスタックの構成」の項をご参照ください。表4には、今回のテストで使用したソフトウェアのバージョンをまとめています。
コンポーネント 構成
Apache 2.0.46-44、RHEL3 U4製品にデフォルトで添付
MySQL 5.0.7、MySQLネットワークからRPMとして
配布されているバイナリを利用
ダウンロードサイト:http://dev.mysql.com/downloads
PHP 5.0.4、PHPのWebサイト
http://www.php.net/)から入手したTarball

表4:Apache、MySQL、PHPの詳細


データベースのセットアップ

   MySQLのデータファイルは、RAID 0(冗長性のないストライピング)で構成したシステムLUNに保存しました。インデックス・ファイルとテーブル・ファイルは、ローカル・ディスクに格納しています。

   このローカル・ディスクはミラーリング(RAID 1)を構成しているので、両ファイルとも、フォルトトレランス付きのボリュームで保護されることになります。システム設計者の方が業務環境にLAMPを導入するときは、RAID 5か10で構成したLUNを使ってSANに接続し、定期的にバックアップするようお勧めします(注4)。

注4: データベースI/Oが集中的に発生する環境では、RAID 10で構成したLUNを使うようお勧めします。

   ログ・ファイルへの書き込みは、通常、順次処理(シーケンシャル)となります。よって、ログ・ファイルは、ローカル・ディスクのみに格納しています。

   データベースのサイジングテストでは、このローカル・ディスクでも十分、トランザクション・ログのI/O処理に対応できました。DVDストア・アプリケーションは、MyISAMテーブルとInnoDBテーブルの両方を使います。データベースのパラメータ類は、後ほど解説する「LAMPスタックの構成」の項に記載した変更を加えました。

   OLTP環境のMySQLデータベースで性能評価テストをするため、「Online DVD Store」ユーティリティに添付された作成スクリプトを使って、中規模のデータベース(サイズ=1GB)を作成しました。次に、これらのデータファイルをデータベースにロードしました。

   OLTP(オンライン・トランザクション処理)ワークロードのシミュレーションには、Online DVD Storeユーティリティに含まれるMicrosoft Windowsベースの駆動アプリケーションを利用しました。

   このマルチスレッド対応の駆動プログラムは、Windows Server 2003 EnterpriseEditionを稼動するDell PowerEdge 750クライアント・マシン上で実行しています。実際の運用状況を再現するため、シンクタイム(ユーザが次に入力するまでの待ち時間)を2秒に、また、「初めてご利用いただくお客様」の割合を20%に設定しました。

   ESX ServerソフトウェアとLAMP VMの性能およびスケーラビリティを評価するのに使った基準は、「1分あたりの受注処理件数(OPM)」です。OPMは、1分当たりのトランザクション数(TPM)と見なすこともできます。ワークロードを増やすときは、スレッド数を10、20、30と徐々に増やしていきました。

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デル株式会社
著者プロフィール
著者:デル株式会社
デルはスケーラブル・エンタープライズ戦略の重要な要素の1つとして、VMware社の仮想化技術を用いたサーバ統合ソリューションを提供しています。業界標準技術を採用した、デルのPowerEdgeサーバとDell | EMCストレージから構成されるハードウェアプラットフォームと、仮想化ソフトウェア「VMware ESX Server」、仮想マシン管理ツール「VirtualCenter」、仮想マシンの無停止マイグレーション技術「VMotion」を組み合わせることにより、柔軟でコストパフォーマンスに優れるサーバインフラストラクチャが構築可能です。

http://www.dell.com/jp/


INDEX
第10回:ブレードサーバのLAMP性能特性とサイジング(前編)
  概要
  各コンポーネントの構成
MySQLとPHPのインストール
  LAMPスタックの構成
VMware ESX Server サーバ統合ガイド
第1回 VMware関連基礎用語
第2回 仮想化環境の設計と物理サーバから仮想マシンへの移行方法
第3回 サーバの構成
第4回 インストール時の注意点とチューニングポイント
第5回 SANブート
第6回 ブレード・サーバへの導入
第7回 Dell PowerEdge 1855ブレードサーバのVMware VMotion性能
第8回 ブレードサーバで構築するVMware ESX ServerのVLANネットワーク
第9回 VMware ESX Serverの性能〜ベンチマークテスト
第10回 ブレードサーバのLAMP性能特性とサイジング(前編)
第11回 ブレードサーバのLAMP性能特性とサイジング(後編)
第12回 メール・プロトコル環境における仮想CPU(導入編)
第13回 メール・プロトコル環境における仮想CPU(仮想化CPU機能編)
第14回 メール・プロトコル環境における仮想CPU(リソース管理編)
第15回 デュアルコア・サーバによるVMware ESX Serverの性能向上

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