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VMware ESX Server サーバ統合ガイド
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第13回:メール・プロトコル環境における仮想CPU(仮想化CPU機能編)

著者:デル   2006/9/11
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シナリオ1:VMkernelによるVCPUのスケジュール管理

   100人のOWAユーザをシミュレーションし、VMkernelによるVCPUのスケジュール管理について測定と調査を完了したら、次に、ユーザ数を最大500人に増やして同じテストを繰り返し、VMやESX ServerホストでVMkernelとVCPU利用率にどのような変化が見られるか調べました。

   図4は、ワークロードが増えたとき、2ウェイ・サーバに搭載された両CPUの利用率がどう推移するかを示したものです。どちらの物理プロセッサもアクティブに利用されていますが、ESX Serverのスケジューラは、PCPU1により多くの処理量を渡していることがわかります。これは、サービスコンソールがPCPU0で実行されているためです。

vmkusageで測定したCPU利用率のグラフ
図3:vmkusageで測定したCPU利用率のグラフ

ESX Serverの物理プロセッサ利用率
図4:ESX Serverの物理プロセッサ利用率

   1台のESX Serverホスト上で複数のVMを稼動するとき、VMkernelは、PCPU 0以外のプロセッサ上でVMの実行をスケジュールします。PCPU0を主に利用するのは、vmkernelとドライバをロードするサービスコンソールです。図5からも、PCPU 0をできる限りサービスコンソール関連の処理用に温存しておくという傾向が伺えます。

   図4に示したデータは、両方の物理プロセッサの平均利用率です。この場合、スケジューラは、PCPU 0上で稼動しているアクティブなサービスコンソール・プロセスが、CPUサイクルの待ち状態に陥らないよう制御しています。

   下の表3を見ると、VMkernelスケジューラが物理CPUや論理CPU間でワークロードをどのように分散させているかがわかります。PCPU 0上ではLCPU 0の方が頻繁に使われていますが、これは、サービスコンソールがこの物理プロセッサのコア上で実行されているからです。2基目の物理プロセッサ(PCPU1)上で稼動する論理プロセッサ(LCPU2とLCPU3)は、LCPU0とLCPU1に比べると、それほど偏りのない利用率となっています。シナリオ1で忘れてはならないのは、LCPUとはESXServerカーネルが利用できる論理プロセッサであって、VMに割り当てられるVCPUではないことです。

OWAユーザ数 PCPU0 PCPU1 LCPU0 LCPU1 LCPU2 LCPU3
100 12 14 11.36 0.45 7.41 7.28
200 19 23 19.22 0.72 14.83 9.05
300 25 39 24.05 1.49 21.3 17.5
400 37 44 36.8 0.2 26.75 19.47
500 33 65 31.75 1.42 39.48 25.21

表3:物理CPUと論理CPUのプロセッサ利用率


Outlook Web Access(OWA)の標準性能〜シナリオ2

   これまでのテストでは、1つのVCPUを使う1台のVMだけをアクティブに稼動させました。このVMが処理するワールドまたはプロセスは、利用可能なLCPUを使って実行スケジュールが組まれていました。

   シナリオ2では、それぞれ1基ずつのVCPUを割り当てたアクティブなVMを2台用意し、OWAテストを実施しました。図5を見ると、OWAワークロードのもとで2台のVMをアクティブにしたとき、ESX ServerのCPU利用率がどのように変わるのかがわかります。このグラフから、アクティブにしたVMごとのVCPU利用率もわかります。
2台のVMで300人のOWAユーザを処理したときの測定結果
図5:2台のVMで300人のOWAユーザを処理したときの測定結果

   このテストでは、ESX Serverホスト上の物理プロセッサ利用率と、両VM内のプロセッシング時間(%)を比べることができます。図5から、PCPU1の利用率は、PCPU0より高いことがわかります。先に述べたとおり、リソースをめぐって競合が発生した場合、VMkernelは、最初にPCPU1の処理量を増やします。

   また、同じく図5のグラフから、VMkernelのCPU利用率(%)は、VMのVCPU利用率と異なる傾向を示すことがわかります。VMkernelの利用率はリソース全体の利用率を示しており、これには、サービスコンソールのほか、ESXサーバ上で実行されるドライバのスレッドも含まれます。

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デル株式会社
著者プロフィール
著者:デル株式会社
デルはスケーラブル・エンタープライズ戦略の重要な要素の1つとして、VMware社の仮想化技術を用いたサーバ統合ソリューションを提供しています。業界標準技術を採用した、デルのPowerEdgeサーバとDell | EMCストレージから構成されるハードウェアプラットフォームと、仮想化ソフトウェア「VMware ESX Server」、仮想マシン管理ツール「VirtualCenter」、仮想マシンの無停止マイグレーション技術「VMotion」を組み合わせることにより、柔軟でコストパフォーマンスに優れるサーバインフラストラクチャが構築可能です。

http://www.dell.com/jp/


INDEX
第13回:メール・プロトコル環境における仮想CPU(仮想化CPU機能編)
  インターネット・メールで発生するワークロードのシミュレーションと測定
  ESX ServerとVMの性能測定および分析
  仮想CPUの分析と考察
シナリオ1:VMkernelによるVCPUのスケジュール管理