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仕事で使えるRed Hat Enterprise Linux徹底入門
仕事で使えるRed Hat Enterprise Linux徹底入門

Red Hat Enterprise Linux 4構築の基本
著者:日本ヒューレットパッカード  古賀 政純   2006/9/26
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セキュリティ機能の強化

   Red Hat Enterprise Linux 4では、特に高度なセキュリティ機能に重点が置かれていることが上げられます。たとえばMandatory Access Control(強制アクセス制御)という、Security Enhanced Linux(SELinux)では標準のLinux環境で提供されている既存のDiscretionary Access Control(任意アクセス制御)機能を補完するMACインフラストラクチャを提供しています。

   ほかにも、メモリ管理の強化によるバッファフローなどの攻撃によりアプリケーションが悪用されるのを防止される仕組みが組み込まれているなど、企業におけるシステムを守り安心して利用できるOSであるといえるでしょう。

マルチ言語対応

   またその他の機能として注目したいのが、マルチ言語対応です。Red Hat Enterprise Linuxでは、英語、日本語、ドイツ語、ブラジル系ポルトガル語、韓国語、イタリア語、中国語(繁体)、中国語(簡体)、スペイン語、ベンガル語、ヒンディー語、パンジャブ語、タミル語、グジャラート語の15言語によるドキュメントとソフトウェアを提供していますので、ワールドワイドで事業展開している企業においても、言語に依存しないシステムを構築することが可能となっています。

   このRed Hat Enterprise Linux 4はサーバ向けOSとクライアントOSの2種類が用意されており、サーバ向けとして「Red Hat Enterprise Linux 4 AS/ES」、クライアントOSとしてRed Hat Enterprise Linux 4 WS、Red Hat Desktopがあります。

   サーバOSとしては、多くはRed Hat Enterprise Linux 4 AS/ESが利用されます。またサーバの管理クライアントやワークステーションとしてはRed Hat Enterprise Linux 4WSが主に利用されています。

   カーネルのバージョンが2.6へ以前のRed Hat Enterprise Linux 3はカーネル2.4であったのに対して、Red Hat Enterprise Linux 4ではカーネル2.6が標準搭載されており、様々な機能拡張が図られていますが、カーネル2.6によるスケーラビリティの大幅な改善により、エンタープライズシステムへの採用がさらに容易になってきていることがあげられます。


ASとESの違い

   Red Hat Enterprise Linux 4 ASとESの違いですが、Red Hat Enterprise Linux ASは、大規模なネットワークシステムやデータベース、ERP、CRMサーバなどを含むデータセンターなどでのハイエンド・サーバ・ソリューションで、Red Hat Enterprise Linux ESは、ファイルサーバ、メールサーバ、Webサーバなどの幅広いネットワークシステムでの利用に適しています(表2)。

Red Hat Enterprise Linux 4 AS:ミッションクリティカルサーバ向け製品
  • DBサーバ、HAクラスタ、大規模Webサーバ、ファイルサーバなど大規模ミッションクリティカルサーバに適している
  • 一般にハイエンドサーバで構成
Red Hat Enterprise Linux 4 ES:エントリ、エッジサーバ向け製品
  • Webサーバ、メールサーバなどの部門で利用するサーバに最適
  • CPU2個までサポート
  • メインメモリ8GBまでサポート
Red Hat Enterprise Linux 4 WS:ワークステーション向け製品
  • ワークステーション、HPC用途の計算ノードなど
  • CPU2個までサポート

表2:Red Hat Enterprise Linux 4 ASとESの違い

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日本ヒューレット・パッカード株式会社 古賀 政純
著者プロフィール
日本ヒューレット・パッカード株式会社
古賀 政純

2000年よりUNIXベースのHAクラスタシステム及び、科学技術計算システムのプリセールスに従事。並列計算プログラミング講習会などを実施。その後、大手製造業及び官公庁系の大規模Linuxクラスタの導入、システムインテグレーションを経験。現在は、大規模エンタープライズ環境向けのLinuxブレードサーバ及びHP Serviceguard for Linux(HAクラスタソフトウェア)のプリセールスサポート、システム検証を担当している。毎日、Linuxサーバと寝食を共に(?)しています。


INDEX
Red Hat Enterprise Linux 4構築の基本
  企業システムにおいてRed Hat Enterprise Linux 4を採用するメリットとは
セキュリティ機能の強化
  Red Hat Enterprise Linux 4のシステム要件