Red Hat Enterprise Linux 4では、特に高度なセキュリティ機能に重点が置かれていることが上げられます。たとえばMandatory Access Control(強制アクセス制御)という、Security Enhanced Linux(SELinux)では標準のLinux環境で提供されている既存のDiscretionary Access Control(任意アクセス制御)機能を補完するMACインフラストラクチャを提供しています。
またその他の機能として注目したいのが、マルチ言語対応です。Red Hat Enterprise Linuxでは、英語、日本語、ドイツ語、ブラジル系ポルトガル語、韓国語、イタリア語、中国語(繁体)、中国語(簡体)、スペイン語、ベンガル語、ヒンディー語、パンジャブ語、タミル語、グジャラート語の15言語によるドキュメントとソフトウェアを提供していますので、ワールドワイドで事業展開している企業においても、言語に依存しないシステムを構築することが可能となっています。
このRed Hat Enterprise Linux 4はサーバ向けOSとクライアントOSの2種類が用意されており、サーバ向けとして「Red Hat Enterprise Linux 4 AS/ES」、クライアントOSとしてRed Hat Enterprise Linux 4 WS、Red Hat Desktopがあります。
サーバOSとしては、多くはRed Hat Enterprise Linux 4 AS/ESが利用されます。またサーバの管理クライアントやワークステーションとしてはRed Hat Enterprise Linux 4WSが主に利用されています。
カーネルのバージョンが2.6へ以前のRed Hat Enterprise Linux 3はカーネル2.4であったのに対して、Red Hat Enterprise Linux 4ではカーネル2.6が標準搭載されており、様々な機能拡張が図られていますが、カーネル2.6によるスケーラビリティの大幅な改善により、エンタープライズシステムへの採用がさらに容易になってきていることがあげられます。
ASとESの違い
Red Hat Enterprise Linux 4 ASとESの違いですが、Red Hat Enterprise Linux ASは、大規模なネットワークシステムやデータベース、ERP、CRMサーバなどを含むデータセンターなどでのハイエンド・サーバ・ソリューションで、Red Hat Enterprise Linux ESは、ファイルサーバ、メールサーバ、Webサーバなどの幅広いネットワークシステムでの利用に適しています(表2)。