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仕事で使えるRed Hat Enterprise Linux徹底入門
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Red Hat Enterprise Linux 4構築の基本
著者:日本ヒューレットパッカード  古賀 政純   2006/9/26
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企業システムにおいてRed Hat Enterprise Linux 4を採用するメリットとは

   企業の基幹システムは、耐障害性の高いハイエンドサーバや負荷分散装置、UNIXや基幹用途向けの専用OS、Linux、可用性ソフトウェアやアプリケーションサーバソフトウェアなどを組み合わせて構築します。Linuxだけで構築するシステムもありますし、UNIXや専用OSとLinuxを混在させて構築する場合もあります。

   このようなシステムで利用されるLinuxは一般に無料で提供されるOSではなく、通常はエンタープライズ向けのLinuxディストリビューションが採用されます。エンタープライズ向けのミッションクリティカルなシステムで利用されるLinux OSのひとつであるRedHat Enterprise Linuxは、レッドハット社から提供される有償製品です。ユーザはレッドハット社またはRed Hat Enterprise LinuxをOEM販売しているベンダーからOSのテクニカルサポートを受けることが可能です。

   安定した無料のOS(CentOSやFreeBSDなど)が多種存在する現在、小規模なサーバシステムであれば、それら無料OSを使って非常に安価に構成することができるようになった反面、パッチのアップデートメンテナンス、障害対応などでメーカーやインテグレータのサポートが得られないという問題があります。

   デスクトップやワークステーションの使用におけるユーザインターフェース周りの修正やOSのアプリケーションサーバの基本的な設定(動作すればよいというレベル)の疑問はある程度インターネット上の情報などを検索すれば済む話かもしれませんが、業務利用レベルの厳密なチューニングやセキュリティ対策、インテグレーション、動作障害対応、コールセンターの配備となるとベンダーによるサポートサービスは不可欠です。

サポートの重要性

   Linuxは無料でコストが安いというイメージがありますが、サーバでの利用となると話は別です。サーバ専門のプリセールSEやコンサルティング部隊と協業し、サーバのハードウェアの最適設計やシステムに最適なソリューション、ベンチマークテストを組み合わせ、システムを稼動させなければなりません。

   それにLinuxのディストリビュータやOEMベンダーは無料OSよりもむしろ商用のエンタープライズLinuxシステムについて高度なノウハウのデータベースを自社に蓄積しており、セールスから開発者、保守サポートエンジニアまで全員が情報を共有しています。また自社ソフトウェアの動作確認も商用OSをベースにしているため、動作不具合があるかないかも商用OSであれば、追跡しやすくなっています。

   無料OSを入れてシステムが稼動しても、なにかあったときにはサポートができるような体制が必要になります。そのためには、商用OSでなくても無料OSをサポートするインテグレータやサポート専門業者の協力が必要となるでしょう。

   ちなみに無料で入手できるFedora Coreがほぼ半年のリリースサイクルに対して、Red Hat Enterprise Linux 4はリリースサイクルが12〜18ヶ月となっており、長期間利用する企業システムにマッチしたものとなっていることがわかります。Errataカーネルやセキュリティアップデート、バグフィックスモジュールを入手することができます。

   そこで、Red Hat Enterprise Linuxのメリットが現れます。Red Hat Enterprise Linuxはエンタープライズシステムに特化しているためサポートをつけることが前提となっており、ハードウェアメーカとの連携と情報交換も盛んです。

   以上のことから、無料OSを導入し、障害があった場合でも迅速な復旧が見込めるかどうか、Red Hat EnterpriseLinuxを購入してベンダーサポートを受けるかどうかなど、システム構成から運用、保守まで含めたTCO、ベンダーのサポートメニュー、技術サポート能力や人的リソースなど、導入前によく見極めることが肝心です。


Red Hat Enterprise Linux 4の特長と種類

   Red Hat Enterprise Linuxは2006年9月時点で、バージョン4となる「Red Hat Enterprise Linux 4」が最新となっています。Red Hat Enterprise Linux 4の主な特徴は表1のとおりです(表1)。

  • Red Hat Enterprise Linux は企業向けディストリビューションのひとつである
  • オラクル、VERITAS、IBM、BEAなど、広範な独立系ソフトウェアベンダ(ISV)アプリケーションの対応
  • Dell、HP、IBM、富士通、日立、NECなど主要なハードウェアプラットフォーム(OEM)による認定と複数アーキテクチャのサポート
  • TPC-C、TPC-R、ECperf、NotesBench、SPECjAppServer2001など、主要なベンチマークで実証された優れた性能、拡張性、高可用性
  • 業務用途での計画的な導入が可能な12ヶ月〜18ヶ月のバージョンアップサイクルと保証された7年間の製品サポート
  • 後からerrataカーネルやアップデートをRed Hat Networkより入手可能
  • Red Hat Networkへの登録権、サポート契約は1年間付いてくる販売形態を持つ
  • デスクトップからデータセンタまで同一の製品ファミリによるシームレスなシステム導入・管理が可能

表1:Red Hat Enterprise Linuxの特長

   特に開発が行なわれた分野のなかにはセキュリティ機能の改良などがあり、前バージョンとの高い互換性を維持しながら、サーバのパフォーマンスやスケーラビリティを向上させています。RedHat Enterprise Linuxは、ハードウェアとソフトウェアに幅広く対応する最新の企業向けLinux環境となります。

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日本ヒューレット・パッカード株式会社 古賀 政純
著者プロフィール
日本ヒューレット・パッカード株式会社
古賀 政純

2000年よりUNIXベースのHAクラスタシステム及び、科学技術計算システムのプリセールスに従事。並列計算プログラミング講習会などを実施。その後、大手製造業及び官公庁系の大規模Linuxクラスタの導入、システムインテグレーションを経験。現在は、大規模エンタープライズ環境向けのLinuxブレードサーバ及びHP Serviceguard for Linux(HAクラスタソフトウェア)のプリセールスサポート、システム検証を担当している。毎日、Linuxサーバと寝食を共に(?)しています。


INDEX
Red Hat Enterprise Linux 4構築の基本
企業システムにおいてRed Hat Enterprise Linux 4を採用するメリットとは
  セキュリティ機能の強化
  Red Hat Enterprise Linux 4のシステム要件