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仕事で使えるRed Hat Enterprise Linux徹底入門
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Red Hat Enterprise Linux 4構築の基本
著者:日本ヒューレットパッカード  古賀 政純   2006/9/26
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Red Hat Enterprise Linux 4のシステム要件

   Red Hat Enterprise Linux 4が稼動するハードウェアはIntel/AMD系の32ビットCPUを搭載した、いわゆるx86サーバからミッションクリティカル用途向けのItanium2 CPUを搭載したIA64サーバまで、幅広いアーキテクチャをサポートしています。

CPUとメモリ

   Red Hat Enterprise Linux 4ではエディションの種類によってそのサポートCPU数やメモリ容量が異なります。またCPUアーキテクチャごとにカーネルが用意されており、そのハードウェアに最適化されたカーネルを利用することが可能となっています。

   エンタープライズ向けのサーバの多くは2CPU以上のSMPシステムで稼動させることが一般的です。Red Hat Enterprise LinuxではSMPシステムをサポートしており、CPUアーキテクチャごとにサポートしている最大CPU数が異なります。サポートされるメモリ容量もCPUアーキテクチャによって異なります。

   Red Hat Enterprise Linux 4のサポートする最大メモリ容量はx86においては、Red Hat Enterprise Linux 4 ASとRed Hat Enterprise Linux 4 WSでメモリ8GB以上、Red Hat Enterprise Linux 4 ESは最大16GBメモリまでサポートします。

   またRed Hat Enterprise Linux 4ではAMD64/EM64T版で64GBをサポートしていることから、高速のCPUと大容量のメモリを使う配パフォーマンスコンピューティング(HPC)分野や、半導体設計のElectric Design Automation(EDA)分野での利用が期待されています。HPC分野ではすでにLinuxが一般化しており、多くのスーパーコンピュータがLinuxで稼動していますが、またEDA分野ではSolarisからLinuxへのマイグレーションが顕著となっており、特にAMD CPUを搭載した2〜4CPU以上のサーバへの移行が多く見られます。


ファイルシステム

   Red Hat Enterprise Linux 4のext3ファイルシステムの最大サイズは8TBとなっています。Red Hat Enterprise Linuxでは一般的にext3が利用されます。Red Hat Enterprise Linux 3まではext3で1TBまでをサポートしていますが、Red Hat Enterprise Linux 4では8TBまで拡張され、さらに大規模なストレージシステムに対応できるようになっています。

   以上からRed Hat Enterprise LinuxがサポートするCPUアーキテクチャ、メモリ容量、カーネル、ディスク容量などを参考にシステム要件に合ったサーバの種類と組み合わせを考慮します。

   レッドハット社のWebサイト
http://www.redhat.co.jp/software/rhel/con.guration/)に掲載されている「Red Hat Enterprise Linuxの対応するシステム構成と範囲」にOSの仕様が掲載されていますので、これらの情報を元にRed Hat Enterprise Linuxのシステム構成を検討します(図1)。

Red Hat Enterprise Linuxのシステム構成を検討する情報ページ
図1:Red Hat Enterprise Linuxのシステム構成を検討する情報ページ
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)


Red Hat Enterprise Linux 4のサポート体制に注目

   エンタープライズシステムにおいてはシステムの安定稼動、高性能ハードウェアへの対応、迅速なパッチリリース、保守サポートが要求されます。そのためRed Hat Enterprise Linuxもそのような要求を意識した製品となっています。

   例えば、Red Hat Enterprise Linuxでは、高性能のハイエンドサーバをサポートできるようにカーネルパッチがすでに適用されていますし、製品のサブスクリプションの登録を行えば、リリース以後のバグ情報の入手、パッチのダウンロードや保守サポートなど、レッドハット社のRed Hat Networkを使ったサービスを受けることが可能となっています。

   OEMベンダーからリリースされているRed Hat Enterprise Linuxも同様のサポートを受けることが可能です。一方Fedora Coreは先進の機能や魅力的で新しいソフトウェアが多く盛り込まれているディストリビューションですが、高い安定性が求められるエンタープライズシステムに耐えられるOSとは言えません。

   一般に、企業システムに導入するOSはシステムに不具合があった場合にログやメモリダンプ、障害報告をベンダーに送付し、ベンダーが解析を行います。解析の結果からベンダー側でパッチを作成し、顧客システムに適用するという一連のサポートフローがあります。またそれらは契約書に基づいた内容に沿って行われます。顧客は購入した製品やシステムの契約書に基づいて保守サポートを受けるわけです。Red Hat Enterprise Linuxではそのような保守サポートを受けることができます。

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日本ヒューレット・パッカード株式会社 古賀 政純
著者プロフィール
日本ヒューレット・パッカード株式会社
古賀 政純

2000年よりUNIXベースのHAクラスタシステム及び、科学技術計算システムのプリセールスに従事。並列計算プログラミング講習会などを実施。その後、大手製造業及び官公庁系の大規模Linuxクラスタの導入、システムインテグレーションを経験。現在は、大規模エンタープライズ環境向けのLinuxブレードサーバ及びHP Serviceguard for Linux(HAクラスタソフトウェア)のプリセールスサポート、システム検証を担当している。毎日、Linuxサーバと寝食を共に(?)しています。


INDEX
Red Hat Enterprise Linux 4構築の基本
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  セキュリティ機能の強化
Red Hat Enterprise Linux 4のシステム要件