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グループウェア調査
中堅・中小企業におけるグループウェアの利用実態

第1回:グループウェアを使い切っていない中堅・中小企業
著者:ノーク・リサーチ  伊嶋 謙二   2006/10/30
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有効な情報共有には基本機能をフル活用すべき

   SMBにおけるITは、否応なしに情報化の基盤に乗らざるを得ない状況になっている。外的な要因としては、インターネットやイントラネットなどのインフラの普及が待ったなしで進行し、ほぼ完了したことだ。

   内的な要因は、個人別にバラバラに持っているスキルベースや営業情報などの企業にとって有益な情報を、有効活用(データ共有)すべきだという認識の高まりがある。現在のオフィス内に導入されているパソコンは、スタンドアロンでそれぞれ個別に使用されており、この状況は組織的にも機能的にも無駄が多い。

   もっと端的にいえば、営業マンや管理部門、生産部門などの企業内の社員すべてが、電子メール/電子掲示板/スケジュール管理/ワークフロー/ナレッジ機能/EIP (Enterprise Information Portal)機能などのグループウェアの持っている機能を活用することによって、情報の一元化とデータベース化による業務の効率化と生産性の向上をはかることができるからだ。

   多少データは古くなるが、「2002-2003年民間企業のIT/サーバ導入実態調査」で、機能別に見たグループウェアの導入状況のデータを得ている。それによると「メール機能」77.2%、「電子掲示板機能」54.7%、「スケジューラ機能」45.3%、「ワークフロー」29.9%、「ナレッジ機能」25.7%、「EIP機能」17.7%の順で導入率が高い。
機能別に見たグループウェア利用
図3:機能別に見たグループウェア利用
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

   SMBへグループウェアが着実に導入されてきている状況のなか、実際の利用形態には若干苦言を呈したい。

   それは「グループウェアのメリットを享受する準備はできている」が、グループウェアを導入していたとしても、その機能をフルに活用できているユーザがまだ少ないという現状である。

   説明不要の「メール機能」「電子掲示板機能」「スケジューラ機能」はかなり高い割合で利用されているものの、「ワークフロー」「ナレッジ機能」「EIP機能」などの利用率はいまだに低い傾向にある。同調査当時の状況は今になっても大差がないことは、ベンダーおよびSMBユーザ各社へのヒアリングでも確認されている。

   本来のグループウェアの持つ、豊かな付加価値機能を使い切っていないのが残念だ。

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有限会社ノーク・リサーチ 伊嶋 謙二
著者プロフィール
有限会社ノーク・リサーチ   伊嶋 謙二
1956年生まれ。1982年、株式会社矢野経済研究所入社。パソコン、PC(IA)サーバ、オフコンなどをプラットフォームとするビジネスコンピュータフィールドのマーケティングリサーチを担当。とくに中堅・中小企業市場とミッドレンジコンピュータ市場に関するリサーチおよび分析、ITユーザの実態を的確につかむエキスパートアナリスト/コンサルタントとして活躍。1998年に独立し、ノーク・リサーチ社を設立。IT市場に特化したリサーチ、コンサルティングを展開すると同時に、業界各誌への執筆活動も積極的に行っている。
ホームページ:http://www.norkresearch.co.jp/


INDEX
第1回:グループウェアを使い切っていない中堅・中小企業
  はじめに
有効な情報共有には基本機能をフル活用すべき
  そのメリットを享受するために必要なこととは