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パッケージアプリケーション向けデータベース再考 |
第1回:パッケージアプリケーション作成に最適なデータベースはなにか?
著者:ボーランド 高橋 智宏 2006/12/26
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開発のことも考えておこう
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データベース選定では、開発のことも考えておかなくてはならない。開発で重要となるのは、既存資産をいかに活用できるかということだ。ここでいう既存資産とは、開発したコードやコンポーネントだけでなく、ナレッジやスキルなども含む。これは既存資産を有効活用できれば、開発コストを大幅に抑制することができるからだ。
ここで重要な指標となるのが標準準拠の度合いだ。JDBCやODBCなど業界標準の接続方法をはじめ、SQL-92など標準構文のサポートがあれば、最低限、既存のナレッジやアプリケーション資産の活用が可能になる。
もちろん開発効率を高めるには、使用を想定している開発言語やプラットフォームで、どのような接続方法や開発支援が利用できるかをチェックしておかなければならない。
標準性と専門性を両立させることは難しい。標準に準拠していれば、ナレッジやアプリケーション資産は、特定製品の束縛から自由でいられる。しかし、その製品の性能を最大限に活かそうとすれば、専門的で固有の機能(非標準の機能)を利用することになる。
これは一概にはいえないが、ほとんどのケースでは両方のバランスを考慮して、使用する機能を選択することになる。専門的な機能は大変魅力だが、同時に「これを使った場合でも、標準準拠で代替可能な道はあるのだろうか」と常に認識しておく必要があるだろう。
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パッケージアプリケーション向けとしてのInterBase
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それでは、ここまで考察してきた項目を、InterBaseが備えているのかを、細かく検証してみよう。
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動作環境の制約が少ないか?
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InterBaseサーバは、Windows(Win32)プラットフォームとIA-32アーキテクチャに対応したLinuxプラットフォームで動作する。インストールに必要な要件は、32MB以上の空きメモリ容量と、20MB以上のハードディスク空き容量だ。クライアントに必要な容量も、コマンドラインツールやクライアントSDKなどを含めた基本セットで10MB以下と、非常にコンパクトである。英語版では、Solaris(SPARC)プラットフォームにも対応しているが、動作OSについては、用途を考える限り十分だろう。
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インストールは簡単か?
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InterBaseはモジュール構成もシンプルでコンパクトだ。そのため、インストール作業も実に簡単である。
パッケージアプリケーションの場合、アプリケーションとデータベースを同時にインストールできるようにしたいものだが、InterBaseはこれにも対応している。開発したアプリケーションと同時にインストールできるインストール支援機能が用意されているほか、インストールAPIやライセンスAPIを用いて、データベースの設定もプログラミングできる。
エンドユーザに作業をさせることなく、必要な機能のインストールや設定ができるので、これについては十分合格だろう。
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メンテナンス負荷は最小か?
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InterBaseにはセルフチューニング機能が搭載されており、不要なレコードやインデックスには自動ガベージコレクションが働く。マシンクラッシュ時にも、自動リカバリ機能が働くので、たいていのケースでは問題なく使用を継続できる。海外では、打たれ強いデータベースとして、電源が安定せず過酷な作業現場のような環境(マシンのほうが持たないのではないかと心配になるが…)でも、積極的に導入されていると聞く。
もう1つ開発する側にとっても便利な機能なのだが、それはクライアントAPIを使って設定の変更、バックアップ、リストアなどをプログラムで制御できることだ。データベースの存在を隠蔽しつつ、ユーザによる管理業務の一部として、データベースのメンテナンスを行わせるような機能の作りこみも可能なのである。
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パフォーマンスは優れているか?
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データベース製品のパフォーマンス指標を具体的に示すことは難しいが、InterBaseは、シンプルかつコンパクトを売りにしているので、ハイパフォーマンスであることは間違いない。特にローカルデータベースエンジンとして使用する場合には、メモリ占有率もばかにならない。最小メモリ32MBというスペックは、小規模システムではパフォーマンスにも大いに関係してくるだろう。
「The InterBaseand Firebird Developer Magazine」で公開されている雑誌では、InterBaseとともに最近人気のFirebirdのパフォーマンスを比較した記事(P25〜)がある。参考にしていただきたい。
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ライセンスコストは適切か?
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一般的なデータベース製品のライセンス料の相場からして、InterBaseは非常に安い部類に入る製品だろう。スタンドアロンアプリケーションに使えるデスクトップ版もあるので、構成の変更にも価格面で追従できるだろう。またパッケージアプリケーション組み込み向けのOEMライセンス契約もあるので、これもクリアだ。
開発については、ボーランド(CodeGear)の開発ツールからの利用がなんといっても便利だ。Borland Developer Studio(Delphi、C++Builder)あるいはTurbo Delphi、Turbo C++からInterBaseにネイティブ接続できるほかに、クライアントAPIをラップした専用のコンポーネントを使うことにより、簡単なビジュアルプログラミングでInterBaseに特化したプログラムを作成できる。通常のデータ操作だけでなく、先に触れたメンテナンスタスクまでも簡単に作れるのは魅力だ。
またODBCによる接続やC/C++によるプログラミングにも対応しているので、他のWindows開発ツールからの利用も容易だ。Visual BasicをはじめとするVisual Studioでの開発や、Officeアプリケーションからの利用にも対応することができる。
JavaからはType 4のJDBCドライバInterClientによって利用可能だ。JBuilderはもちろんのこと、さまざまなJava環境からJDBCインターフェースでアクセスできる。
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著者プロフィール
ボーランド株式会社 デベロッパーツールズ事業本部 高橋 智宏
DOS時代からの熱狂的なBorlandファンであり、Borland社員。専門はx86アセンブラ,C/C++,Java,Delphi,.NET,CORBA,RDBMSなど様々。エヴァンジェリストを務めつつ、積極的にコミュニティに参加している。京都大学法学部卒。
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