CPUにおけるムーアの法則はすでに崩れ、今やアムダールの法則に置き換わってきた。
アムダールの法則とは、「性能を決めるのはクロック数ではなくアルゴリズム」ということになる。理論上ではムーアの法則に沿った成長を続けることは不可能ではなかったが、クロック数の上昇につれて発熱量が問題となってしまったため、CPUベンダーは方向転換を余儀なくされることとなった。
この課題を解決するためにCPUベンダーはマルチコア化をたどった。デュアルコアの登場は記憶に新しいと思う。最近のCPUテクノロジーのトレンドは、クロックを伸ばすのではなく、クロックを下げて1クロック当たりの効率をあげることに注力している。1世代前のCPUと比べると、発熱量は実に40%近く下がっており、性能も維持またはそれ以上の効果を発揮する。
また低発熱は、消費電力の削減とハードウェアの安定性を生み出す。これは、特にデータセンターのような大量のサーバがある場所で効果を発揮する。なぜなら、サーバそのもの電力が下がるだけではなく、空調機などの調整が容易になり、設置方法にも余裕がでてくるからだ。結果的に想像以上のコスト削減ができるだろう。
また、近年のCPUはマルチコアだけではなく、その付加機能にも注目したい。Intel、AMD両社に共通しているのが、VT、Pacificaといった仮想化テクノロジーである。これらは、VMwareやXenなどの仮想化ソフトウェアをハードウェアから支援する機能であり、飛躍的なパフォーマンス向上が見込めるようになる。
また、IntelはvProといった管理機能を搭載するCPUをリリースしている。これは今までのオーバーバッファランといった機能だけではなく、管理サーバから警告をだしたり遠隔操作を可能にしたりするもので、TCO削減のみならず個人情報保護法やSOX法などから厳しく求められている情報資産の保護に大いに貢献する機能となっている。
この機能は今までソフトウェア上で行っており、少なからず業務の妨げになることがあったが、ハードウェアで行うことによって、負荷を感じることなく行えるようになり、業務に集中できるようになるのだ。
さて、これらは2006年の間で行われてきた。実験的な機能もあったが、各機能はすでに実用段階に入っているといっても過言ではなく、ソフトウェアの対応が求められている。
しかし、これははじまりに過ぎない。AMD、Intelの両社の考え方に相違はあるものの、コア数は増えていくだろう。現にIntelはすでにクアッドコアのCPUをリリースしている。
これは先にあげたようなことだけではなく、通常のアプリケーションにも影響を与える。今までは、処理を順次行っていくというスタンスであったが、今後はIAサーバに置いても並列に処理を行えるようになり、様々な形のアプリケーションが生まれてくることだろう。
また、今後は統合化を支援する付加機能が増えていくだろう。情報資産の保護はより一層厳しく求められるようになり、ソフトウェアのみの保護では限界がでてくるからだ。ソフトウェアがvProのような機能に対応していくことで、完全な保護のみだけではなく、効率性も格段にあがっていくはずだ。
CPUは新しい時代を迎えた。この新しいテクノロジーをいかに活用していくかで、効率性は大きく変わっていく。
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