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情シスマネージャの挑戦!
IT部門の改革に取り組む人必見!ある情シスマネージャの挑戦

第7回:利用部門が「情報を使いこなす」ための正しいBIツール導入方法

著者:有田 若彦   2007/4/27
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1. 現状の能力レベルの見える化

   まずは現状の把握、しかもIT部門と利用部門双方が現状レベルを認識できるようにするため指標で「見える化」しておく必要がある。個人の活用能力とそのバラツキを明示しておけば、どのような情報活用アプローチ尾が必要になるかお互いに考えるキッカケになり、経営者にとっては投資対効果や問題の所在を掴みやすくなるからだ。
2. 達成レベルの見える化

   上記1のレベルを測定していくと、自然にゴールまでに道順は見えてくるものだ。そうなると次に大事なのは、今年はどこを目指して活動するかを決めることだ。

   例えば、次のような考慮が必要になる。これを明らかにしておかないと、次段階で効果的な教育ができないばかりか、徒労に終わること可能性も大いにある。

  • ツールの習熟度を一気に上げるのか
  • データの読み方や扱い方をどここまで要求するのか
  • 情報の流通の範囲や方法

表3:達成レベルの見える化


3. 教育の実施

   教育で大切なことは、頻度と対象に尽きる。販売関係者に対するときは販売データを使って、データ解析の方法も販売分析を例にとって説明しなければならない。生産の場合もしかりだ。

   ところが、意外に受講対象者にフィットしない普遍的な事例で説明し、理解度もイマイチということも少なくない。さらに、一般事務社員と中間管理職層とでは説明の仕方や用例もかなり、興味の持たせ方にも違いがある。

   単に講習会を開催して教えればよいというものはなく、外部講師に任せて終わりということでもない。


4. 操作質問窓口

   操作について集中的に対応する窓口というのは、ある程度規模が大きいシステム導入になってくると必須となる。システムの設計や運用の片手間でこなせるようなものではない。知識ベースでは申し分ないのだが、相手の話を丹念に聞いて、懇切丁寧に説明する時間と気持ちの余裕を確保することが難しいからだ。

   小規模の企業であっても、可能なら他システムの操作Q&Aと、担当者を統一して対処する方が効率的だろう。


5. 活用提案

   情報活用の神髄は、どのように使いこなすのかを気づいてもらうことだ。そのためには、IT部門から「情報の活用例の提案する」より他はない。情報活用ができていない企業の多くは、すべての情報活用の考案を利用者に委ねてしまっており、その結果状況が硬直してしまっているようだ。データを使うのは利用者だから、その当事者が用法を考案すべきと考えるのは本筋だろう。

   ところが、上から仕事を与えられることに慣れきっているような企業では、自力で考案する能力は枯れてしまっているのが現状だ。そのためIT部門は、弾みを付ける役回り、外部強制する役目を担う必要がある。


6. 横展開

   現場の情報活用で有効な事例ができてきたら、IT部門はそのノウハウを全社に展開することだ。狙いは、「当該部門にお役立ち感を意識させ、自信を与える」「使い方のヒントを他部門に与えること」「情報活用の人的ネットワークづくり」の3点にある。

   特に3点目の人的ネットワークの形成は一度できあがると貴重な財産になる。IT部門が関与しないところで情報活用が語られたり、あるいは応用されていくのだ。このようになれば、仕掛けたIT部門としては本望だろう。

   社内で一目置かれるようになるには、情報活用へのこうした切り込みは必須であり、もっとも効果が高い。是非ともチャレンジされることをお勧めする。

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有田 若彦
著者プロフィール
有田 若彦
製品開発技術者やFAエンジニア、SEなど、一貫して製造業のエンジニアリングを歩む。現在は、某化学メーカーの情報システム部に所属。グループウェアの全社展開やDWH/BI、汎用機ダウンサイジングなどのプロジェクトのほか、EUCやEUDの案件を経験。目下は、IT企画やITマネジメント、IT教育、システム監査など多方面を担当。システムアナリスト、CISA公認システム監査人、ITC公認ITコーディネーター、経営品質協議会認定セルフアセッサー、行政書士。


INDEX
第7回:利用部門が「情報を使いこなす」ための正しいBIツール導入方法
  BIツールの高度化が進む時代
  ライセンス形態を基準にしたBI導入には問題あり
  シーケンシャルな情報流通では変化に対処できない危険が
1. 現状の能力レベルの見える化